狭山事件から60年。一日も早く再審開始を

不当逮捕から60年を迎えて 石川一雄メッセージ
まず最初に、昨年9月から皆様方にお願い致しました裁判所に「鑑定人尋問を求める緊急署名」が50万筆を超えて頂きました事に心から感謝申しあげます。大きな力を頂きました。

 さて、別件逮捕から今日で60年を迎え、昨年8月、弁護団が裁判所に11人の鑑定人尋問およびインク鑑定の請求を行い、署名活動等の闘いの中で、再審闘争の機運も盛り上がる中ではありますが、まだまだ、先行きが不透明なことは、私自身が一番よく知りつつ、今は兎も角、多くの支援者各位にご心配、ご迷惑をおかけしていることに対し、「申し訳ない」では相済まない気持ちでいます。当時如何に自分が社会的に無知であったか、それに付け込んだ3人の取調官に対し、今も許せない気持ちがあっても、3人とも、もうこの世にはなく、結果的に私は一層苦しんでいるのは事実です。

しかし、弁護団が請求している鑑定人尋問とインク資料の鑑定が実現し、弁護側から提出された全証拠を裁判官が綿密に精査して頂ければ、司法の名にじない判断が出されるものと固く信じております。

一方私は、先日、再審開始決定が出された袴田事件で、裁判所から「ねつ造の疑い」とまで断じられた「5点の衣類」もさる事乍ら、一番釈然としないのは、家宅捜索時に袴田さんの自宅から「ズボンの切れ端」が発見された点です。何故なら、私も度々ズボンの裾を詰めてもらい、その時、ズボンの切れ端を渡されますが、家に持ち帰ったとしても、直ぐに捨ててしまう経験から、袴田さんもそのようにしていたのではないかと、思っていたからです。したがって、捜査官が袴田さんを犯人にすべく袴田さんの家を家宅捜索した際に箪笥の中から発見したかの如く、捏造したのでないかと思っています。狭山事件で3回目の家宅捜索で発見された万年筆も同じ構造だと言えます。

過去の例で言うと、松山事件がそうでした。斎藤幸雄さんが犯人とされ、「死刑確定囚」でした。斎藤さん宅から押収された布団の襟当に付着した多量の血痕が決め手となって死刑判決になったのです。再審裁判で、ジャンパーなどに血痕がないにもかかわらず、何故、襟当に血痕がついていたのかを疑問に感じた裁判官が不審に思い、押収後の鑑識課員の鑑定書を証拠開示を勧告して提出させたのですが、その写真には血痕が存在せず、他の新証拠とあわせて精査した結果、再審開始決定となり、斎藤さんは無罪を勝ち取ったのです。後に東京拘置所で、斎藤さんのお母さん(斎藤ヒデさん)、別の日に妹さんが私の所に面会に来られた際にそのように話しておられたのを今でも思い出します。

私が死刑囚として東京拘置所に収監されていた時も、他にも冤罪者がいたかもしれません。しかし、再審請求するには、多くの労力(時間、金)がかかるだけでなく、家族にもさまざまに負担がかかることを考えて、再審請求を断念せざるを得ない人たちがいたのではないか、と思っています。

何れにせよ取調過程において如何なる事情があっても、一旦自白すればそれを覆すことは容易ではないことを身をもって知っております。再審が開始されるのはラクダが針の穴を通るより難しいとされている今の法制度で、とりわけ問題なのは、再審裁判で、全証拠の開示は元より、検察における上訴(特別抗告、異議申し立て)ができないような法改正を早急にしていけなければならないと痛切に思います。

狭山事件も裁判所の公正な判断を求め、最終段階を迎えている現在、何としても弁護団が求める鑑定人尋問およびインク鑑定を実現させるの一言に尽きますので、全国の支援者皆さん方に、もうひと踏ん張りのご協力を賜りたく、私の心からのお願いを申し上げてご挨拶といたします。

2023年5月23日   石川 一雄

 

全国の支援者各位


袴田事件の次は狭山   狭山事件再審実現しよう関西集会

第7回狭山事件の再審を実現しよう市民のつどいin関西が2023年3月21日に大阪市の西成区民センターでひらかれた。57年前に起きた「袴田事件」が東京高裁の決定で再審が確定した。集会では「次は狭山」を合言葉に再審開始へ向けて粘り強く声を上げ続けていくことを確認した。

 石川一雄さん、早智子さん、袴田秀子さんのビデオメッセージが寄せられた。

 石川一雄さんは袴田事件の再審開始報道をうけて「嬉しい気持ちでいっぱい。次は狭山。何年かかるかわからないがえん罪が晴れるまでは死ねない。健康を維持するために毎日2万、3万歩、歩いている。何としても第三次で終結させたい。50万筆を超える署名が集まった。勝利するまで闘っていきたい」とのべた。早智子さんは「3月13日の再審開始は二人で歓声を上げた」とのべ石川は袴田さんと獄中で共に過ごし、秀子さんとはいろんな集会で過ごしたエピソードを語り署名が目標よりもはるかに超えたことについてお礼をのべ「署名は皆さんの声であり世論を動かすことができる」とさらなる支援を呼び掛けた。

 袴田秀子さんは当日オンラインで参加予定だったが、再審開始へ向けた緊急集会と重なり、ビデオメッセージで登場した。検察の特別抗告ができる期間内に撮影したことから秀子さんは「検察は即時抗告すると思う」とのべ、「命ある限り見届ける覚悟で生きてがんばりたい。石川さんは59年も闘っている。後に続くようにえん罪で無実を訴えているすべての人に再審開始をお願いしたい」などとのべた。

 地元あいさつは部落解放同盟大阪府連合会の袈裟丸朝子書記次長がおこなった。落語家の露の新冶さんによる「お笑い人権高座」や太鼓演奏「真実の響」などの演奏があった。

 狭山再審弁護団の指宿昭一の弁護団報告を紹介する。

 袴田事件は東京高裁再審開始決定のなかで確定判決で有罪の決め手の一つとされた証拠について「捏造された可能性が極めて高い」と判断された。証拠がねつ造された経緯は狭山事件も同じでその積み重ねによって石川さんが犯人にされた。2009年に門野裁判長が証拠開示をもとめこれまで多くの証拠とともに新証拠を提出している。

この判断が袴田事件をはじめ他のえん罪事件の再審の門戸をひらいている。狭山事件ではこれまで257点の新証拠を提出しいつ再審開始決定してもおかしくない状況にある。昨年、有罪の決め手とされた「万年筆」についてインク資料の鑑定とこれまでに提出した新証拠の鑑定人11人の証人尋問を求めてきた。確定判決とされた寺尾判決はくずれている。裁判長はこちらの主張と検察の主張のどちらが正しいかを判断するために証人尋問をこない双方からの意見を聞き判断することが重要だ。裁判の決断を後押しするためにもこの問題を今まで知らなかった人たちが声をあげはじめること。えん罪事件を取り上げたドラマエルピスでえん罪事件を報道するために奮闘した長澤まさみのようにあきらめずとりくんでほしい、などとのべた。

 獄友トークセッションではえん罪被害者の青木惠子さん(東住吉事件)、西山美香さん(湖東記念病院事件)、映画「sayama見えない手錠を外すまで」の金聖雄監督と「狭山事件の再審を実現しよう」フェイスブックを担当する野島美香さんが壇上にあがった。

 青木さんは「即時抗告されたことで無罪を勝ち取るまで21年もかかった。検察はメンツのためだけに人の人生を奪い、証拠を隠し続ける体質がある。袴田事件で再審が実現したことを追い風にして新たにルールを作るべきだと考えている。再審法改正を求めていきたい」。西山さんは和歌山の刑務所で青木さんも同じえん罪被害者だと知った経緯や獄友であり心の支えになったことなどエピソードを語り「社会を少しでも変えていけたらという思いで国家賠償請求をおこなっている」などとのべた。

 金さんは袴田事件弁護団が帰宅した時に子どもに報告したら「味噌樽に漬けられていた服に赤い血痕が残らなかったというだけなのにどうしてこんなに長い時間がかかったの」と聞かれたというエピソードを語り、狭山事件も同じで改善するためにも再審法改正が必要だなどとのべた。野島さんは裁判所前で狭山街宣行動のチラシを受け取り狭山事件を初めて知りこの時代に今もそういう人がいるのかと驚いたという。袴田事件の再審開始決定はうれしいが石川さんが取り残されているようで切ない。何としても勝ち取りたいなどとのべた。

 


石にかじりついても司法動かす 全国大会で決意 20230303

 「全国水平社創立100年の歴史的意義をふまえ、組織改革に取り組み、人権確立社会の実現に向けて、部落解放運動の新たな飛躍をかちとろう」をスローガンに部落解放同盟第80回全国大会が2023年3月3日に京都のホテルで開かれた。

 再審開始へ向けて石川一雄さん、石川早智子さんがアピール。一部を紹介する。

 石川一雄さん

 「第三次で勝利できるようになんとか一層のご支援をたまわりたい。84歳になる石川一雄は元気。無罪を勝ちとるまで天国にたつことはしない。石にかじりついてでも今の司法を必ず動かします。これだけの新証拠が出ている以上司法が何と言おうとも、皆さんのお力を借りて何としても元気な間に無実を勝ち取りたいと心から願っている」。

石川早智子さん

「裁判が大きく動こうとしている。昨年からの署名は40万を超えた。

署名は世論の声。裁判所も検察も目を凝らしてみていると思う。皆さんのご支援に涙があふれる。11人の鑑定人が実現すれば真実は明らかになる。裁判所は真摯に公正な裁判をしてほしい。60年の狭山の闘いは最終段階にきている。石川が元気な間に見えない手錠を晴らしたい。えん罪を晴らして自由の身になって両親の墓前に手を合わせる日が一日も早く来てほしいと願っている」。
などと語り、支援を呼びかけました。


【事件から60年の今年何としても再審実現を】

新年あけましておめでとうございます。狭山再審実現へ向けて昨年、11人の鑑定人尋問、インク資料の鑑定を実現へむけて20万筆の署名を目標にとりくんできましたが、昨年末に23万筆を超える署名が集まりました。再審開始を実現させるために今後も呼び掛けていく予定です。

石川一雄さん、早智子さんの新年メッセージがHPにアップされましたので紹介します。

石川一雄さん

「60年を迎えましたが今年こそ無罪を勝ち取るために精一杯頑張りたい。みなさんが奔走していただいたおかげで実現することができたのは感謝のねんでいっぱい。今年こそという思い。無実の証拠がたくさんありますので、裁判官はぜひとも弁護団から要請された証人調べの11人を法廷の場をひらき科学者たちの証言を聞いていただければ、私のえん罪をわかっていただけるものと確信している。支援者の皆様にはえん罪が晴れるようにより以上のご支援を心からお願いしたい。コロナにより集会参加が叶わなかったが今後も精一杯闘っていきますのでよろしくお願いします」。

石川早智子さん

 「11人の鑑定人尋問請求の後、署名活動が始まり短期間で10万筆を超える署名が集まったことをどんなに勇気をもらい元気をもらえたかしれません。

狭山事件発生から60年を迎えた年に何としても鑑定人尋問、再審開始を実現させ無罪を勝ち取っていきたい。世いっぱいの闘いをつづけていきます。

 

後ひと踏ん張り。お力をお貸しください。」などと語りました。

鑑定人尋問へ各地で署名を呼び掛けよう 府民集会2022/11/7

狭山第三次再審闘争勝利・鑑定人尋問実現へ大阪府民集会が解放同盟、解放共闘、大阪府内にある6団体の狭山住民の会の共催で11月7日にPLP会館でひらかれ約150人が参加した。

11人の鑑定人尋問と裁判所によるインク鑑定の現状と意義について部落解放同盟狭山闘争本部の安田聡事務局長が講演をおこなった。

 足利事件で犯人とされた菅家利和さんは当時精度の低いDNA鑑定で犯人とされ、2008年の東京高裁でDNA再鑑定を決定し、翌年犯人と不一致であることが判明し千葉刑務所から釈放。2010年に再審無罪の判決が下された。布川事件は2001年に法学者らの証人尋問がおこなわれ、2005年に水戸地裁で再審開始が決定したが検察官は即時抗告した。

今の日本の制度では再審開始が決定した時に再審開始の不服申し立てができる。それは明らかな人権侵害であり諸外国ではできない。えん罪被害者は不服申し立てができないよう再審法の一部改正を訴えている。

狭山事件で確定有罪判決となっている東京高裁の無期懲役判決、いわゆる寺尾判決は、石川さんと犯行を結びつける7つの客観的証拠があるとして、脅迫状と石川さんの筆跡の一致、現場足跡と石川さん宅の地下足袋の一致、犯行に使われた手拭い・タオルの入手可能性、血液型の一致、死体埋設に使われたスコップは石川さんがかつて働いていた養豚場のものであること、目撃証言、犯人の声との一致をあげている。

 

証拠開示によってこれまで191点の証拠が開示され255点の新証拠を提出してきた。寺尾判決の有罪証拠が間違っていることを科学的に証明している11人の鑑定人尋問を求めている。

石川さん宅で3度めの家宅捜索で発見された万年筆で書いた数字と被害者が使っていた万年筆が証拠開示された。それらをもとに蛍光エックス線分析によって発見万年筆と被害者の万年筆のインクの元素がちがうことを科学的に明らかにしている。誰が実験しても同じ結果になるはずで裁判官による万年筆のインク鑑定も求めている。

検察は弁護団が提出した新証拠に対して再審開始の理由にならないと300ページにわたる意見書を7月に提出した。今後はその反論も準備していく。

鑑定人尋問をおこなうかどうかは裁判長の判断にゆだねられる。それが実現しても大崎事件のように棄却される場合もあることからこの短期間で世論の声を高めるために20万人を目標に緊急署名を呼び掛けている。最後の目的は石川さんの見えない手錠を外すこと。多くの人に署名を呼び掛けてほしい。

支援者からは、現在関西テレビで放映されているえん罪をテーマにしたドラマ「エルピス」について足利事件がモデルになっていることや目撃証言と似ても似つかない人が犯人にされたくだりを紹介し、えん罪事件が自分とは関係ないと多くの人が考えるが、誰もが陥るかもしれないほどちかくにありもっと関心をもってもらいたいなどとのべた。

石川さんと同じえん罪被害者の青木惠子さん(東住吉事件)は、自宅駐車場に止めていた車のガソリンが漏れ、給湯器に発火し火事で愛娘が亡くなった。警察は保険金詐欺と事件をくわだて青木さんは無実の罪をきせられた。青木さんは学生の時に電車から見えていた矢田のグランドに石川さんを救えと書かれていたがそれがえん罪だと知らなかった。当時、もっと興味を持っていたらえん罪に巻き込まれたときに対応できたかもしれないと悔やんだという。えん罪は他人事と思う人が多いが、誰でも犯人にされてしまうなどとのべ現在国を相手に控訴審で係争中であることなどを報告した。 


第三次再審で無罪を勝ち取りたい    2022/11/15

部落解放研究第55回全国集会が11月15日、16日に鳥取県米子市で開催され、全国各地から2000人以上が参加しました。初日の全体会であいさつにたった石川一雄さんのメッセージを紹介します。

 

 石川一雄さんは「私が部落出身者でなかったとしたら多分犯人にされなかったはず」と逮捕された当時の様子を語り、「最初は3人が逮捕され警察に問い詰められたが無実であると訴え続けてきた。身代金を受け取りに来た犯人の足跡と兄がはいていた地下足袋の足跡が同じだと警察に言われた。事件が起きた時間は家族みんなで過ごしていたが兄だけが帰りが遅かったことから警察の話を信じ込んでしまい、兄の身代わりとして犯人になった。第三次再審で裁判長の判断により証拠開示が実現し録音テープなどが開示されたことにより新証拠を提出し、警察官が証拠をねつ造したことまでわかった」とのべ、「水平社100年を迎える今年に決着をつけたかった。来年は逮捕されて60年を迎える。無罪を勝ち取るまでは両親に手を合わせることができない。今でも心を鬼にして仏壇に手をあわせないでいる。何としても第三次再審で無実、無罪を勝ちとるためにみなさんのご支援をおねがいしたい」などと支援を訴えました。


【鑑定人尋問実現へ 河村弁護士が講演】

部落解放中央共闘会議の第47回総会が2022年10月5日に東京でひらかれ、記念講演として狭山弁護団の河村健夫弁護士が「いよいよ大詰め狭山第3次再審請求~鑑定人尋問を実施させるために」をテーマに講演をおこないました。

 

 

 

 狭山弁護団は現在、第三次再審で11人の鑑定人尋問を請求していることから講演ではその内容について詳細に報告しました。
 今後の三者協議について河村弁護士は「次回三者協議で検察官は事実取り調べはいらないと判断することが予想される。反論、さらに反論を繰り返して3回やり取りしたのちに裁判所が判断することになる。その時期は2023年春以降が事実取り調べをするかしないかの攻防の中心点になることが予想される。事実取り調べをやらないと裁判所が判断した場合、先行きは厳しい。最低一人でも事実取り調べを実現させなければならない。科学的に証明できる筆跡関係、蛍光X線分析の鑑定を裁判所に判断してもらいたい」などとのべ、最後に「署名をとおして、市民の声を裁判所に届けてほしい」と呼びかけました。



250点の新証拠をもとに鑑定人尋問へ

部落解放同盟第79回全国大会が2022年6月8日、9日に東京でひらかれ、中央執行委員長を24年間務めた組坂繁之さんが勇退し、後任に西島藤彦中央書記長が、新書記長には赤井隆史中央財務委員長が就任しました。

 一日目の全体会で石川一雄さん、早智子さんがあいさつをおこなったので紹介します。

 

石川一雄さん

 委員長交代にあたりごあいさつにいったところ、これからも変わらず狭山の闘いにご支援いただけるということで心強く思った。弁護団から新証拠を提出し裁判所に鑑定人尋問、証人調べを積極的におこなうときいた。検察官がこれら新証拠を確定判決の前に出していたとしたら寺尾判決のような判決を出さなかったのではないか。無実ながら自白してしまったことに対して長い間御迷惑をおかけし申し訳ない。支援者の皆さんあっての石川一雄であるので来年が本当の勝負。更なる支援を呼び掛けた。

 

石川早智子さん

 9月の第51回三者協議までには250点を越える新証拠を携えて鑑定人尋問をおこなうと聞いている。1964年9月の公判で「俺はやっていない」と無実の叫びから58年が経過した。今も石川一雄の両手には見えない手錠がかかっており、石川の自由や人としての尊厳を取り戻すためになんとしても鑑定人尋問を実現させたい。最終段階を迎えた狭山の闘いに皆さんの声を届けてほしい。


熊本全女集会で石川さんが訴え        2022/5/14

 部落解放第65回全国女性集会が5月14日、15日に熊本県の熊本市民会館を主会場にひらかれ全国各地27都府県から663人が参加しました。会場前には地元熊本県連女性部の皆さんが「ようこそ熊本へ」と書かれた横幕をかかげ出迎えてくれました。

 「全国水平社創立100年の闘いを受け継ぎ、差別と戦争に反対するとともに人権と平和、民主主義、環境の確立と男女平等社会の実現に向けて、部落女性の力を総結集し、部落j解放運動を大きく前進させよう」をスローガンに部落問題をはじめ人権問題について学習し各地の取り組みや交流を深めました。

 

 初日の全大会で石川一雄さん、早智子さんが挨拶したので紹介します。

 石川さんは現在、三者協議が進行し、証人調べを要求することになったことを報告し、「今までの科学的な証拠から見て石川の無実は明白だ」とのべました。

 逮捕された当時は文字の読み書きができなかったのですが刑務所の中で看守さんに教えてもらい一生懸命文字を習得できたことを語り、「文字を読み書きできたことで一番嬉しかったのは毎月一回の映画鑑賞の時に字幕を読めて理解できたことだ」と語り、「文字を教えてくれた看守さんが移動した後も、一人で勉強し文字を全て読めるようになったのはおよそ13年くらいになる。現在83歳になるが組坂委員長よりもまだまだ元気です。今後も差別をなくす運動の先頭に立ち闘っていきたい。来年こそ冤罪が晴れるように皆様の一層の支援をお願いしたい」などと語り支援を呼びかけました。

 さちこさんは「石川は83年の人生のうち59年が冤罪を晴らす戦いだった。その中で文字を取り戻し、文字を力にして全国の皆さんに支援を訴えていった。多くの学び出会いをいただいた。今狭山の戦いは最終段階に来ている。今年の戦いが来年に実を結ぶように協力を呼びかけ「1994年の仮出獄から28年が経つが石川は毎月、保護士との面談が課せられ今も見えない手錠がかかっている。皆さんのお力を貸してほしい」と語りました。


水平社創立100周年記念集会で決意  2022/3/3

差別のない平等な社会を求めて被差別部落の人々が立ち上がった「全国水平社」創立から100年を迎えた3月3日に京都市で記念集会がひらかれた。

石川一雄さん、石川早智子さんがあいさつをのべたので紹介する。

石川一雄さん

「来年は狭山事件から60年を迎え、何としても雪冤を上げていただきたく一層のご支援を心から賜りたい。83歳だが今も元気そのもの。さらなるご支援ご協力をお願いしたい。差別弾圧が厳しい中立ち上がり苦しい時代(に水平社は立ち上がったが狭山事件で)逮捕された当日(1963年5月23日)の新聞を見ただけでもわかる。各社新聞記事を読んでマスコミに対して腹立たしく思い出たら復習しようとおもったが仮出獄のときにはみんななくなっていた。元気な間に無罪を勝ち取れるように一層のご協力をお願いしたい」

 早智子さん

 「部落民であることを隠して生きてきた私にとって100年も前に厳しい差別の中で部落民自身が差別の中で人間を尊敬することにより自ら解放すると立ち上がり苦難の中闘ってこられた方々を誇りに思います。熱と光を求めて闘い続けた100年。狭山事件は60年。

鑑定人尋問を求め再審開始を元気な間に無罪を勝ち取りたい。さらなる支援を心から願っている」


85歳までに無罪を勝ち取りたい。来春に証人調べを申請

全国狭山活動者会議・狭山住民の会全国交流会が9月15日にHRCビルでひらかれリモート参加者を含め約60人が参加した。

2010年の三者協議ではじめて証拠が開示されこれまで191点の証拠が開示されてきた。弁護団はそれをもとに242点の新証拠を提出し石川さんの無実を訴えている。

全国水平社創立100周年を迎える来春に証人調べの申請をおこなう。再審の扉を開かせるために各地で再学習や高検高裁への要請はがきを呼び掛けた。

石川さんと同じくえん罪被害者の桜井昌司さんは布川事件の再審で無罪を勝ち取り、国と県に損害賠償を求めた高裁判決が確定した。判決には「虚偽の事実を告げて自白を強要した」などと指摘して検察、警察の取り調べの違法性を認定した。密室の取り調べで強要されたウソの「自白」がなければ「逮捕や起訴はされなかった」と判断している。

活動者会議では石川一雄さん、石川早智子さんからビデオメッセージが寄せられた。石川一雄さんは布川事件判決について「布川事件の勝利は当然の権利を得たわけであり当たり前のことで桜井さんは自分の権利を取り戻した」とのべ、桜井さんと同じくウソ発見器がかけられ、警察から「殺したと出ている自白しろ」と言われたが一切応じず無実を訴え続けたという。

しかし、6月17日に保釈が認められ狭山署の留置場を出たところであらためて「強盗、強姦、殺人、死体遺棄」の容疑で再逮捕されそのまま川越分室に移送さて徹底した取り調べが続いた。無実であるにも関わらず、警察官から「お前をここで殺しても逃げられたと言えば通用するんだと」言われ、石川さんは「当時の私は信じ込んでしまいびくびくしていた。取り調べは本当にキツイ。取り調べを受けるときに警察官全員が夕方5時になると腕時計を外し夜は何時まで取り調べを受けたか分からない。翌朝には朝早くから取り調べが続き、眠たくなりうとうとすると頭を小突かれた」などとのべた。

自白したことに対して「警察に騙されたといっても自分が犯人だと言ってしまったことに対しては被害者にも支援してくださる方にも申し訳なかった。えん罪であることを裁判所で必ず晴らしたい。昔は二十歳が四回くるまでに無実を晴らしたいと言っていたが、今は85歳までに無罪を勝ち取りたい。えん罪が晴れるまで後押しをしていただきたい」とのべ、勝利に向けてさらなる支援を呼び掛けた。

石川早智子さんは、「新型コロナ感染拡大のなかで各地で創意工夫した闘いを続けられていることに感謝したい」と支援者にお礼のメッセージをのべたあと「布川事件は狭山事件と同じく自白の強要、嘘発見器をかけられるなど似ている点が多くあった。勝訴判決が出されたときに桜井さんにお祝いのメールを送るとすぐに「次は狭山だ。がんばろう」という返事が届いた。

桜井さんは記者会見で「勝利するまで54年かかった。心が軽くなったという言葉を聞き石川にもその思いを味合わせてあげたい。えん罪で苦しんでいる多くの仲間は私と同じ体験をすることがあってはならないといっている。集会、現地調査が厳しい闘いになるが、鑑定人尋問、再審ができるよう支援をお願いしたい」などとのべた。

 

新年メッセージ       2021/1/1

 新年あけましておめでとうございます。昨年の年末に、袴田事件で最高裁が再審開始を認めなかった東京高裁決定を取り消し高裁に審理を差し戻すことが決まりました。「次は狭山」を合言葉に今年も再審開始へ向けて微力ながらも取り組みを進めていきたいと考えています。

 

 石川一雄さん、早智子さんから新年メッセージが寄せられましたので紹介します。

 石川早智子さんは「今年は勝負の年。昨年終わりには袴田事件で最高裁が高裁棄却を差し戻す画期的な大きなニュースが年末に飛び込んできた。その時に次は狭山だという思いをもったが全国から次は狭山と励ましの言葉をたくさんいただいた。今年こそ動かす一年になるように皆様のご支援をお願いしたい」とのべました。

 

 石川一雄さんは支援者へ感謝のお礼をのべたあと、袴田事件で再審開始が実現されるかもしれない動きについて「巌ちゃん、ほんとうにおめでとうございます。東京拘置所に6年間共に過ごした時代があり、ともにがんばろうといったことが実現したことがうれしい。(狭山事件は)今年58年目になる。今度こそ無罪を勝ち取るために一生懸命闘っていきたい」などとのべました。

 

最後に短歌を披露しましたので紹介します。

腰を据え闘い続けて第三次

 

証拠はそろい勝負の年。


例年なら日比谷野外音楽堂に於いて、寺尾不当判決糾弾の市民集会が開催されている筈ながら、今年は誰も予想しなかった新型コロナウイルスの出現により、狭山に関係する殆どの集会や、現地調査が中止・延期となってしまい、再審闘争も最大な山場での状況だけに、残念でなりません。

 

しかしながら、事件発生から57年、寺尾不当判決から46年になる狭山の闘いを止めてはならないという皆様の不退転の熱意が、各地での、集会や、学習会として継続して闘い続けて下さっていることに感謝の気持ちでいっぱいです。コロナ禍の中で、対策と工夫を凝らした闘いが進められていると思われますが、私、石川一雄のために結集して頂いた皆様方に、非常に心強く思うと同時に、なんとしても、この第3次再審で勝利して、終結せねばとの思いを強くしています。

 

 一方、狭山弁護団も、第3次再審にかける意気込みと、並々ならぬご努力に、私自身も、それに応えるべく、対応をしています。今は目が悪く、なかなか資料を読むことも厳しくなっていますが、体力維持につとめ、いつでも動ける準備を続けております。

 

 裁判長も変わり、仕切り直しの感はぬぐえませんが、これまで出された多くの無実を明らかにする新証拠があります。
 何としてもこれらの証拠の鑑定人尋問を実現させることが最重要であります。
 鑑定人尋問を実現させて、私が冤罪であることを理解してもらわなければなりませんので、どうか皆さん方も要請はがきや要請行動等、行動を起こして頂きたく、心からお願い申し上げて、私のご挨拶とさせていただきます。

 

           狭山では 伝家の宝刀 下山の 鑑定結果が 動かぬ証

 

2020年10月  狭山支援者各位様

              石川一雄

2020年こそは再審実現を   石川一雄さんがメッセージ

 

昨年も、支援、要請のお願いに目一杯活動してきましたが、私の願いも空しく、再審開始の前提である証人調べに入る目処が明らかにならないまま新年を迎えてしまい残念無念でなりません。

 

結局検察側の言う通り次回の三者協議までインクを探すということになってしまった訳でしたが、裁判官は検察の引き延ばし理由において、道理に反していると思いつつも、検察官の主張を認めたのではないか、と思われます。

 

弁護団に反証の目処を追及され、検察官は当時のジェットブルーインクを入手するまで待ってほしいと言っているそうですが、国家権力の力からみれば、事件当時、被害者が使っていたインクが見つけられない筈がありません。そもそも、下山第2鑑定の結論を検証するために、被害者が使っていたインクを探す必要はないと思います。恐らく下山第2鑑定に対して、すでにあらゆる角度から実験、鑑定を試みたと思われます。しかし、自分たちの思い描く結果が得られず、さりとて、このまま、下山鑑定を認めるわけにはいかないので、時間稼ぎをしながら、いかに難癖をつけられるか検討しているのではないかと、私自身は推測しています。下山第1鑑定の時も、鑑定人の名前を公表しなかった、できなかったように、今回もそのようなこともあるかもしれません。

 

元より、弁護団は、反証があれば、徹底的に再反証するでしょうが、有罪証拠の根拠となった「発見万年筆」は、下山博士の、蛍光X線分析検査で、科学的、客観的に「偽物」である事を明らかにしたのです。弁護団も、下山鑑定を覆すことはできないとの確証の上に立って、裁判所に、正々堂々と鑑定人の尋問を強く求め、また、裁判所に職権で鑑定を求めていくのではないかと思われます。

 

支援者皆さんもご承知の様に、被害者が事件当日に書いたペン習字の浄書のインクからは、クロム元素が含まれていたのに対し、私の家から発見されたという万年筆で書いた数字のインクからはクロム元素が含まれていなかったことを下山鑑定人が明確に指摘したのです。この鑑定は、弁護団が証拠開示を求め、201610月に、当時、発見万年筆で書いた「数字」を含む調書が証拠開示されたことから実現しました。実に53年も検察に隠されていた証拠なのです。前記のような検察官の再審妨害活動を制限し、再審における証拠開示を義務化する法改正が必要だと痛感します。

 

弁護団の方針は飽く迄も事実調べ、再審開始を実現させることが前提であり、私自身も裁判官が誰に代わろうとも焦らず、今後も無実の証拠を突き付けて闘って参る所存であります。

 

皆さんにも大変ご心配、ご迷惑をおかけして申し訳なく思いますが、どうか昨年同様にご協力下さいますよう心からお願い申し上げます。

 

尚、全国の支援者皆様から私の体調面に対し、大変ご心配をおかけしておりますが、目、耳が若干悪いこと以外は盤石であり、この第3次再審で再審実現を目指し、全力で闘って参る所存です。

 

 

 

権力の犯罪暴いた万年筆 許せぬ怒りは法廷の場で

 

 

 

2020年1月1日  

 

狭山支援者ご一同様                               石川 一雄

 

 

 


不当判決から45年 これからも闘い抜く 石川さんメッセージ

 

  寺尾不当判決45か年糾弾集会に決起して下さった全ての皆さんに感謝の一文をお届けいたします。現在、検察側は下山第2鑑定に対し、反証を出すといいながら、反論も反証も出さないで、一年以上がたちました。当然にも検察は下山鑑定に対して、これまでに反論反証を出すためにあらゆる手段を駆使し、努力をしてきたと思われますが、検察の思い通りの結果が出ず、このままでは被害者のものとされた発見万年筆は偽物(捏造)の烙印を押されてしまいかねないことを恐れ、出せないのではないかと、私自身は思っています。下山第一鑑定の時も、検察側の鑑定人の名前を公表しない、できないというお粗末なものでありました。
 そもそも万年筆に関しては、発見経過も含めて当初からいわくつきであったわけです。事件発生当時、発見万年筆のインクや、被害者が使っていたインク瓶のインクなどを検査した検察側の鑑定人である、荏原・科学警察研究所技官が発見万年筆のインクは、被害者が使用していたインクと異なることを指摘していたにも拘わらず、検察官は、インク補充説を唱えました。寺尾判決はインクの違いを無視して万年筆発見を有罪の根拠にし、その後の裁判所はインクの違いを別インク補充の可能性でごまかしてきた訳です。
 下山第一、第二鑑定は、発見万年筆には、被害者が使用していたインクが入っていないことを科学的に指摘して、被害者の物ではないことを看破し、またコンピューターによる筆跡鑑定をした福江報告書は、脅迫状の筆跡は99.9パーセント以上の識別精度で、私が書いたものではないことを満天下に明らかにしたのです。
 これらの鑑定結果は、科学的な鑑定結果であり、普遍的なものということであり、決して揺らぐことはなく、検察にとって、もはや覆すことは困難であると思われます。
 証拠開示で明らかになった資料をもとに科学的、客観的な新証拠が多数提出されているこの第3次再審請求で、なんとしても証人尋問、鑑定人尋問をさせることが最重要な闘いであり、再審開始へのカギとなりましょう。
 何れにせよ、さほど遠くない日に判断されると思われますが、私も心を引き締め、全力で闘って参る所存ですので、どうか皆さんも此の第三次裁判以外にないと思う私の意を汲んで頂き、最大限のご協力下さいますよう、衷心よりお願い申し上げます。お願いばかりさせて頂きましたことをお許しいただき、失礼させて頂きます。
 今日は本当にありがとうございました。
 2019年10月31日
 
 寺尾不当判決45ヵ年糾弾・再審要求集会参加者ご一同様          石川 一雄

 


生涯、部落差別運動に携わりたい  2019年8月鹿児島県で

 

石川一雄さんは80歳をこえた今も全国各地を飛び回り無実を訴えています。2019年817日に鹿児島県で開催された部落解放第51回全国高校生、第63回全国青年集会の石川一雄さんのアピールを紹介します。

 

〇石川一雄さん

(三者協議は佳境に入り)早ければ今年暮れまでには裁判官の決断を待つのではないか。50年たった今、科学の進歩によって無実が明らかになった。石川の自白によって明らかになったとされた証拠が警察官のねつ造によるものであることが科学の力で明らかになった。コンピューターによって筆跡が99.9%違うことも証明できた。

今年80歳を迎えたがまだまだ元気で毎日腕立て伏せをしている。もしもえん罪が晴れたら、お世話になった皆さんとともに生涯私は部落差別をなくす運動に携わっていこうと思っている。私の遺言状には、「母は闘わん」の唄が大好きなので葬儀の時に流してほしいと書いている。(その時を迎えるのは)何十年後になるかもしれないが、皆さんも一緒にうたってほしいと思っている。今後も厳しく温かく見守っていただきたい。


第三次で決着を          2019年5月徳島県で

 2019511日に徳島県で開催された部落解放第64回全国女性集会でのあいさつを紹介します。

 〇石川一雄さん   「狭山事件はいよいよ大詰めに来た。55年間の活動の中で多くの支援者が旅立ち、埼玉県連の片岡れいこさんのお見舞いへ行ったときに(病状が深刻で)片岡さんから「近いうちに天国に旅立ちます。青春時代を狭山支援運動にささげた。石川さんの無実を勝ち取ったときの姿を見ることができないのが残念。天国で常に見守っているから無罪を勝ち取ったときに天を見上げて声をあげてください。その時一層光を放ちたい」といわれ心が凍ってしまい「はい」というだけだった。多くの兄弟姉妹のためにも闘っていかなければならない。 こういう目に遭ったのは自分自身が弱かったから。犯人にでっち上げられてしまったことが刑務所で文字を覚えて知り、刑務所の中で強くなろうと精神的にも体調も万全な状態で無罪を勝ち取れるように毎日体を鍛えた。今、80歳。何とか三次で決着をつけたい。

 〇早智子さん「狭山は重要な時期に来ている。今度こそ殺人犯という烙印を投げ返す時が来た。狭山事件の闘いの歴史を祝福されるように女性の皆さんが全力でご支援いただけるよう心からお願いしたい」などとのべた。


集会で訴え20190523

狭山事件の再審を求める市民集会が2019年5月23日に東京の日比谷野外音楽堂でひらかれました。

   狭山事件を知らない多くの人へ事件を知ってもらい、えん罪を求める世論の声を高めるために、23日の朝日新聞東京版一面に意見広告を実施。静岡県から青森県まで370万部の発行部数です。今後の方針として証人尋問事実調べを求めて最終意見書を来年までに提出する予定です。

 

 基調提案で片岡明幸さんは日本維新の会の長谷川豊・参議院比例区候補者が部落差別発言をおこなったことにふれ「部落を犯罪のプロ集団という人間に参議院に立候補する資格はない。56年前にもこのような部落に対する誤った認識で狭山事件がおきた。それが半世紀以上たっても未だにこのような発言が出ることが狭山事件の大きな背景にある。狭山事件は部落に対する差別をなくしていく闘い」と支援を訴えました。  石川さん、早智子さんのあいさつを紹介します。

石川一雄さん

今年こそ本当にえん罪を晴らしたい。証人調べを実現するべく命をかけてがんばっていきたい。今後も運動を展開していくが、私は80歳になった。これからが私の第二の人生。それに向かって前進していきますのでこの三次で勝ちますように支援をお願いしたい。石川早智子さんは狭山意見広告が朝日新聞に掲載されたことについてお礼をのべたあと先々週にひらかれた徳島の全国女性集会の分科会で和歌山の女性からの報告を紹介。

  1973年に石川さんに手紙を送り忘れていたころに石川さんから原稿用紙4枚にいっぱい文字が書かれた手紙を受け取りそこには「なにより勉強するということは人のためでなく自分自身の力。和歌山から応援してください」と書かれていて石川さんを励まそうと送ったのに逆に励ましてくれたと46年前の手紙を大事にもってくれていた。

  早智子さんは、「石川の闘いが多くの人を影響した。えん罪はあってはならないことだが獄中で文字を取り戻し多くの人に出会えて心が豊かになった」とのべ、狭山事件について「多くの証拠が出された。今がいかに重要であるか、裁判所を動かすのは一にも二にも世論の喚起が必要。さらなる支援をお願いしたい」と呼び掛けた。

無罪を勝ち取るまで闘い抜く  石川一雄さん2019/5/23メッセージ

  再審の扉を開けぬまま、不当逮捕56年を迎えてしまったことは至極残念で悔しい思いでありますが、第3次再審においては、私の無実を示す証拠は沢山提出されているので、必ずや再審開始を勝ち取るべく、今年も県下各地より決起集会にご参集頂けたものと思われ、例年の事ながら、支援者各位に心より感謝の意を表しておきたいと思います。

 

私は当然の事乍ら、今時の第3次再審請求に命を懸けて活動を展開している訳ですが、恐らく現在の状況から察して、今年の後半は裁判所が鑑定人尋問などの事実調べをおこなうかどうかのヤマ場を迎えると思われ、それだけに、皆さん方の最大限のご支援は不可欠であり、皆さんのご理解とご協力を伏して願わずにおれません。

 

一方、弁護団も確定判決で有罪の根拠と指摘した全ての証拠と検察官の反証・反論に対して、科学や医学の力をもって潰した上で、裁判所に鑑定人尋問と再審開始を求めて意見書を提出する由であり、だからこそ、今が如何に重要であるかを皆さんの胸に刻んで頂きたいのです。裁判所を動かすのは,一にも二にも世論の喚起でないかと思うのです。

 

楽観できませんが、前述のように、私を殺人犯にデッチあげるため、警察、検察の自白の強要、証拠のねつ造、証拠隠しがおこなわれ、長い闘いの年月を要しましたが、これだけ冤罪の真相が新証拠によって暴かれた今、最早、真相究明のために、法廷の場で明らかにしないわけにはいかないと思います。

 

そのためにも、あせることなく今の第3次再審の闘いで必ず勝利するとの決意で、私も全力で闘って参りますので、何卒皆さん方も私の冤罪を晴らすべく可能な限りご支援を賜りますよう衷心よりお願い申し上げて、不当逮捕56カ年糾弾再審実現集会のご挨拶に代えさせて頂きます。


第3次再審で集結を 石川さんがメッセージ

 確定判決の予断と偏見に満ちた不当な差別判決の前に、現在もなお殺人犯の汚名を背負わされ、仮出獄をした今も、非人道的処遇を強いられ、保護観察所や、保護司への報告を義務付けられてから24年になろうとしておりますが、この生活環境を直視すれば当然の事乍ら、私の憎悪の対象は寺尾判決の一言に尽きる訳ながらも、皆さん方もご承知の通り、此の間に開示された取調べ録音テープ等からも、如何に確定判決がゴリ押しであったか、明らかであり、正しくこの第三次再審闘争の中で、これまでの有罪の証拠に合理的疑いが生じていたかが、満天下に示されており、そうであれば、直ちに真相究明すべく、鑑定人尋問を行うべきと切に願っています。
 前述の様に、取調べ録音テープに因って明らかになったのは、自白調書すべてに渡って国家権力、警察が私を狭山事件の犯人にデッチ上げるために仕組んだ証拠の捏造、事件のストーリーであり、証言の偽造、証拠の改ざんの事実を暴露し、警察が私に嘘の自白を強要、強制していたことが決定的に明らかになったのです。
 これまでも支援者各位による検察に対して「証拠を隠さず開示しろ」の声に押され、少しずつながらも現在190点以上の証拠が開示され、それに対して弁護団から無実を明らかにする200点近い新証拠が出されています。一度も事実調べ、鑑定人尋問を行うことなく再審を棄却してきたこれまでの裁判所の決定を、満腔の怒りを持って糾弾してきましたが、今度こそ鑑定人尋問を行うものと信じています。
 今テレビ等で、警察権力、国家権力、官僚等の不祥事が毎日のようににぎわしていますが、一方では、私の狭山事件の検察の証拠隠しは元より、それを黙認している裁判所の不正義について、取り上げられることはほとんどなく、由々しき問題であると、声を大に訴えます。
 今日は55年前に不当逮捕された日であり、各地で沢山の参加のもとで糾弾集会が開かれていると思われ、例年の事乍ら、感謝の気持ちで一杯です。
 振り返れば、この55年は途轍もなく長い道のりでありましたし、またある時は闘いを放棄して終いたいと思ったこともありましたが、皆さん方をはじめ、全国の子どもたちから「石川さんがんばって下さい。私たちも応援しています」という手紙に励まされて、心折れずに闘い続けてこられました。
 55年の今日まで、未だ冤罪を晴らすことは出来得なかったけれども、この第3次再審で必ず再審の扉が開かれると確信し、自分自身の為、また、何よりも長年にわたって支援し続けて下さった多くの支援者の皆さんの声に応えなければと、日々、自分自身に鞭うって頑張っております。
 皆さんお一人おひとりが石川一雄になり、真相究明のために裁判が開かれるように署名活動や、様々に闘って下さっている事を思うと一層の闘争心が湧き、「これしきのことでへこたれないぞ」との覚悟でおります。
 昨年12月に就任した後藤真理子裁判長も、取調べ録音テープ等を驚愕を持って聴取され、また、福江、下山、川窪鑑定等の科学的な鑑定もしっかり確認されている筈であり、だからこそ、事実調べや鑑定人尋問の必要性、重要性を認識されていると信じております。
 今日の集会をバネに、現審の後に裁判はないと自分自身に言い聞かせ、不屈に闘って参りますので何卒私の固い決意をおくみ頂き、最大限のお力を下さいますよう心からお願い申し上げて私の挨拶に代えて失礼いたします。

2018年5月23日

                           石川 一雄

 


事件から50年。 多くの新聞に掲載されました。

事件から50年を迎えた2013年5月1日、多くのメディアが狭山再審開始を求め無実を訴え続けている石川さんをとりあげました。




朝日新聞全国版に意見広告

 公正な裁判と裁判のやり直し、再審を求めて、「狭山事件の再審を求める文化人の会」は朝日新聞の全国版(2000年5月22日)に掲載しました。
 掲載後、事務局には「同一の筆跡とは考えられない」、「狭山事件のことをもっと知りたい」などの感想

、意見が多く寄せられ大きな反響がありました。

 犯人の脅迫状と石川さんの筆跡がちがうことは明らかです。