【石川一雄さんは無実です。ただちに再審開始を】

24歳で逮捕された石川さん(左)。事件から57年が経過し、82歳になった今も無実を訴え続けている。

 事件発生から半世紀以上が経過した今も犯人とされた石川一雄さんは無実を訴えつづけています。他のえん罪事件でも様々な証拠ねつ造が明らかになっていますが、狭山事件でも「万年筆」をはじめ多くの疑惑の証拠が存在しています。私たちは狭山事件のすべての証拠の開示、証人尋問・事実調べ、裁判のやり直しを求めています。

 2010年の三者協議ではじめて証拠が開示され、2021年7月の第47回までに多くの証拠が開示されてきました。


弁護団は開示された証拠を分析し242点の新証拠を提出し、石川さんが犯人ではありえないことを証明しています。2018年には「獄友」の仲間である桜井昌司さん、菅家利和さんとともに現地調査を行い、石川さんの無実を確信しました。密室の取り調べで「認めれば10年で出してやる」とウソの自白を自供させられた石川さん。自白に沿って問題点を紹介します。ぜひ無実の証拠をご覧いただき、狭山事件の再審闘争へのご支援をお願いいたします。活動内容メディアで取り上げられたものも順次掲載していきます。
 ※このHPに掲載する画像は弁護団提出の鑑定書に掲載されているものも含まれており、無断での転載を禁止させていただきます。

【最新情報】

85歳までに無罪を勝ち取りたい。来春に証人調べを申請

全国狭山活動者会議・狭山住民の会全国交流会が9月15日にHRCビルでひらかれリモート参加者を含め約60人が参加した。

2010年の三者協議ではじめて証拠が開示されこれまで191点の証拠が開示されてきた。弁護団はそれをもとに242点の新証拠を提出し石川さんの無実を訴えている。

全国水平社創立100周年を迎える来春に証人調べの申請をおこなう。再審の扉を開かせるために各地で再学習や高検高裁への要請はがきを呼び掛けた。

石川さんと同じくえん罪被害者の桜井昌司さんは布川事件の再審で無罪を勝ち取り、国と県に損害賠償を求めた高裁判決が確定した。判決には「虚偽の事実を告げて自白を強要した」などと指摘して検察、警察の取り調べの違法性を認定した。密室の取り調べで強要されたウソの「自白」がなければ「逮捕や起訴はされなかった」と判断している。

活動者会議では石川一雄さん、石川早智子さんからビデオメッセージが寄せられた。

石川一雄さんは布川事件判決について「布川事件の勝利は当然の権利を得たわけであり当たり前のことで桜井さんは自分の権利を取り戻した」とのべ、桜井さんと同じくウソ発見器がかけられ、警察から「殺したと出ている自白しろ」と言われたが一切応じず無実を訴え続けたという。

しかし、6月17日に保釈が認められ狭山署の留置場を出たところであらためて「強盗、強姦、殺人、死体遺棄」の容疑で再逮捕されそのまま川越分室に移送さて徹底した取り調べが続いた。無実であるにも関わらず、警察官から「お前をここで殺しても逃げられたと言えば通用するんだと」言われ、石川さんは「当時の私は信じ込んでしまいびくびくしていた。取り調べは本当にキツイ。取り調べを受けるときに警察官全員が夕方5時になると腕時計を外し夜は何時まで取り調べを受けたか分からない。翌朝には朝早くから取り調べが続き、眠たくなりうとうとすると頭を小突かれた」などとのべた。

自白したことに対して「警察に騙されたといっても自分が犯人だと言ってしまったことに対しては被害者にも支援してくださる方にも申し訳なかった。えん罪であることを裁判所で必ず晴らしたい。昔は二十歳が四回くるまでに無実を晴らしたいと言っていたが、今は85歳までに無罪を勝ち取りたい。えん罪が晴れるまで後押しをしていただきたい」とのべ、勝利に向けてさらなる支援を呼び掛けた。

石川早智子さんは、「新型コロナ感染拡大のなかで各地で創意工夫した闘いを続けられていることに感謝したい」と支援者にお礼のメッセージをのべたあと「布川事件は狭山事件と同じく自白の強要、嘘発見器をかけられるなど似ている点が多くあった。勝訴判決が出されたときに桜井さんにお祝いのメールを送るとすぐに「次は狭山だ。がんばろう」という返事が届いた。

桜井さんは記者会見で「勝利するまで54年かかった。心が軽くなったという言葉を聞き石川にもその思いを味合わせてあげたい。えん罪で苦しんでいる多くの仲間は私と同じ体験をすることがあってはならないといっている。集会、現地調査が厳しい闘いになるが、鑑定人尋問、再審ができるよう支援をお願いしたい」などとのべた。

狭山事件の再審を求める市民集会を10月29日(金)午後1時から日比谷野外音楽堂で開催される。例年、規模は4000人を対象にしていたがコロナ感染予防のために1300人を対象にしている。デモについても縮小して開催する予定。

中北龍太郎弁護士が「第三次再審請求心の経過、証拠構造と崩壊、到達点、展望」について報告。石川さんが有罪の根拠とされたのは7つの状況証拠と自白有罪証拠からなりたっているが、無実を証明するまでにこれまで242点の新証拠を提出してきた。証拠について石川さんの無実を証明できる点について説明した。


布川事件で国、県に賠償命令!次は石川さんの無実を勝ち取ろう

1967年に茨城県利根町布川で起きた「布川事件」で強盗殺人罪に問われ、2011年に再審無罪が確定した桜井昌司さん(74)が、国と県に損害賠償を求めた国家賠償請求訴訟の控訴審判決で、東京高裁の村上正敏裁判長は2021年8月27日、警察官に加え、捜査段階の検察官の取り調べについても「虚偽の事実を述べ、自白を強要させており違法だ」と認め、国と県に計約7400万円の支払いを命じました。 

桜井さんは20歳の時に知人の杉山卓男さんとともに逮捕され密室の取り調べの中でウソの自白に追い込まれ、その後無罪を訴え続けましたが29年間収監されました。仮釈放後64歳の時に無実が認められました。2020年にガンの余命宣告を受けましたが、その後も精力的に活動を進め、今年5月にはビデオメッセージを寄せていただいています。毎年おこなわれる狭山中央集会にもえん罪被害者の仲間とともに駆け付けていただき、「石川さんの無実は確実だ」と応援メッセージを寄せてくれています。

 

桜井さんの次は、石川さんです。狭山事件の再審開始を実現させて無実を勝ち取るためにこれからも粘り強く取り組んでいきたいと思います。(写真は2018年に狭山事件の現地調査をおこなったあとに撮影しました。左から菅家利和さん、石川一雄さん、石川早智子さん、桜井昌司さん)


埼玉県で狭山街宣活動

 部落解放同盟大阪府連合会が作成した狭山チラシが今回も埼玉県で活用され、多くの市民に配布されました。以前、依頼を受けた「石川一雄さんを支える埼玉東部市民の会」の方からの紹介で「北埼地区狭山裁判を支援する市民の会」の方からチラシの依頼を受けました。

 同会では浦和地裁が石川さんに「死刑判決」を下した3月11日が福島第1原発事故が起きた日でもあることから、あらゆる差別も冤罪も原発再稼働も許さない、反差別共同闘争の取り組みとしておこなうために狭山スタンディングではなく加須スタンディングとして命名し活動しています。

 

 8月11日に加須駅前で街宣活動がおこなわれ、大阪府連が作成した狭山のチラシと918日に開催予定の人権市民講座(許すな!インターネットの悪用部落差別の拡散と助長)のチラシに個包装マスクを挟んで配布行動を展開しました。

鑑定者の証人喚問を実現させ無実を勝ちとろう

2021年7月29日に石川一雄さん、石川早智子さんのビデオメッセージが中央本部から配信されました。メッセージの一部を紹介します。

 

石川一雄さん

コロナが明けたら元気に活動するため家の中で1年5か月間切磋琢磨に運動をしてきた。その成果として実際には筋肉モリモリであります。

科学の力によって私の無実が明らかになり、この3次で無罪を勝ち取れなかったら私はたぶんあの世へ行ってしまうのではないか。そのような思いでコロナ感染を非常に恐れていた。幸いなことにいまは2回目のワクチンを打ってもらえました。解放同盟へ相談して今重要な時期でありますので多くの皆様方のご支援を賜るべく各地へお願いに回りたいと常々思っていましたが今回は断念しました。

コロナの中で自宅にいるときに事件当日、逮捕されたときの新聞報道を読み非常に憤りを感じました。当時のマスコミはひどく「石川一雄は学校へ行かずに飲み屋街を闊歩した」、「中学校をさぼって…」と書いてあり、さぼったのではなく家が貧しくて学校へ行きたくても行けなかった。

  越後獅子という歌を聴き、10歳の時に子守奉公でつらかったことを歌の意味が良く分からなかったけどばちで殴られたんだなと思い出して涙を流した。

自白によって被害者の持ち物が発見されたとされたが今は科学の力によってその証拠が偽物であったことが証明されている。鑑定者を法廷に呼んで証人尋問しなければならない。

何としても第三次で冤罪をはらすために法廷に証人調べをしてもらうようにそのためには全国のみなさんの声が必要です。これからも全国各地にお願いに回っていきますのでその時は声をかけていただきますようお願いいたします。

 

石川早智子さん

オリンピック憲章の中に人権尊重があるが、今コロナ禍の中で命の危険を晒してでもオリンピックを強行した。多くの人に自粛や我慢を強いながら国家権力はお祭り騒ぎ状態にある。オリンピックが始まると熱狂して国民はすべて忘れて支持率があがると思っている。国家の暴走を止めることが大事だと思う。そのためには今の堕落しきった政権を変えること。それが人権尊重の政治につながり狭山の闘いにつながる。

 7月9日石川一雄が起訴された日を迎え落ち込んでいた。

私は労働組合の活動の中で狭山事件を初めて知り、涙を流した。1977年8月9日職場で昼ご飯を食べていた時にテレビで狭山事件上告棄却のテロップが流れたのを見たとたん胸がいっぱいになり食事がのどを通らなかったのを昨日のように思い出した。

今、たくさんの人たちが様々な場所で闘いを展開してくれている。狭山の闘いで私は生きる力をもらえた。証人喚問の時期にきている。諦めず闘い続けていきたい。

 

 


新証拠は242点に  第47回三者協議

 有罪判決では石川さんは死体を抱きかかえて約200メートルの距離を運んだとされるが、事件当時の航空写真が証拠開示され、それをもとに専門家が調査分析した結果、幅45センチ程度しかない狭い箇所が約40メートルもあった。さらに上記写真のA地点では小麦畑と茶畑が接して45センチよりも幅が狭い地点があり、死体を抱えた状態で通れないと考えられ、運ぶことは不可能といえる。

事件から58年 全証拠の開示を

 狭山事件発生後の5月11日に死体発見現場から約125メートルの麦畑で発見されたスコップは石川さんがかつて働いていた養豚場から盗んで死体を埋めるためにつかったものであると自白を離れて有罪判決と認定されました。

弁護団は、昨年末に、スコップに関して、平岡義博立命館大学教授の意見書を提出するとともに、証拠開示勧告申立書を東京高裁に提出しました。

当時の埼玉県警鑑識課員による鑑定では、スコップ付着の土と比較する対照資料として、死体発見現場そのものではなく、死体発見現場付近に穴を掘って土を採取しており、弁護団は、鑑定の経過などを明らかにする必要があるとして、土を採取した際の捜査報告書類、採取記録(穴などの写真、ネガ、スケッチ等)や採取現場を指示した書類などを証拠開示するよう検察官に求めました。

しかし、検察官は、5月に「弁護人が開示を求める証拠であって、未開示のものは見当たらない」とする回答の意見書を提出。弁護団は、7月に、さらに開示を求める意見書を提出しました。

スコップ付着土壌の鑑定をおこなった埼玉県警鑑識課の星野技師は、竹内・狭山署長から電話で依頼を受けて対照資料(土壌)を採取したと報告書に書いており、少なくとも、どの場所の土壌をどのように採取するよう依頼したかの記録が残っているはずです。

星野鑑定人は、スコップについて附着物の油脂についての鑑定もおこなっていますが、スコップ発見の翌日の5月12日に竹内狭山署長が星野鑑定人に対して鑑定嘱託書を出し、同夜に星野鑑定人から特捜本部に電話で鑑定結果の中間報告があったという記録や翌13日にも電話で中間報告があったという記録など、特捜本部と星野鑑定人とは密に電話のやりとりをしており、その内容は逐一記録されていたことが開示された証拠によって明らかになっています。

そのことからすれば、スコップ付着の土の鑑定資料の採取にあたって、埼玉県警察本部の警察技師である星野鑑定人にどのように説明して現場における対照資料の採取場所を特定し依頼したのか等の記録が残っているはずですし、油脂の鑑定と同様に、星野鑑定人から特捜本部へ報告した記録も残っているはずです。弁護団は、こうした点を指摘し、狭山警察署やさいたま地検も含めて、再度、精査することを求めています。

●死体を抱きかかえて運ぶことは不可能

 

検察官は、6月30日付けで弁護団が提出した万年筆関係の新証拠、とりわけ下山第2鑑定に反論する意見書を提出した。検察官は、昨年5月に万年筆関係について意見書を提出し、それに対して弁護団は、昨年12月に、反論の意見書、新証拠を提出しました。今回の意見書は、下山第2鑑定を中心として、再度、弁護側に反論するものです。

弁護団は、この検察官意見書に対しても誤りを明らかにし、徹底して再反論することにしています。

検察官は、昨年12月に、弁護団が提出した殺害方法、逆さづり、後頭部の出血(犯行現場における血痕の不存在)、死体運搬についての新証拠について、反論の意見書を提出し、あわせて、石山昱夫・帝京大学医学部名誉教授による意見書を提出し、ことし3月には、筆跡について弁護団が提出した新証拠に対する意見書を提出しています。弁護団は、6月に提出された意見書を含めて、検察官意見書の誤りを明らかにする新証拠や自白についての新証拠を今後提出することにしています。

7月1日には、検察官が昨年末に提出した死体運搬についての意見書の誤りを明らかにする土地家屋調査士による流王意見書を補充書とともに提出し新証拠は242点になりました。
  2018年12月に提出した流王報告書は、証拠開示された当時の航空写真を分析し、死体を殺害現場(雑木林)から芋穴まで運んだという運搬経路上に、
45センチほどしかない狭い区間があり、その中にさらに狭い地点があり、死体を前にかかえて運んだとは考えられないことを指摘した土地家屋調査士の報告書で、自白が虚偽であることを明らかにしたものです。

弁護団は、今後、準備中の新証拠、検察官意見書に対する反論の提出をふまえて、鑑定人尋問を請求することにしています。

 

●第47回三者協議

2021年7月19日、東京高裁で第47回三者協議がひらかれました。東京高裁第4刑事部の大野勝則裁判長と担当裁判官、東京高等検察庁の担当検察官、弁護団からは、中山主任弁護人、中北事務局長などが出席。

弁護団は協議に先立って、スコップに関わる証拠開示について、検察官の「不見当」とする回答に対する補足意見書を提出しました。また、6月30日に出された万年筆に関する検察官の意見書について求釈明書を提出しました。協議では、スコップ関連の証拠開示について、弁護団から意見書の内容を説明し、裁判所は再度検討してほしいと述べました。

次回の三者協議は10月上旬におこなわれる予定です。10月31日には狭山事件の確定判決となっている東京高裁の寺尾判決から47年を迎えます。9月には全国狭山活動者会議、住民の会交流会を開催するとともに、10月には東京での市民集会開催も予定されています。



石川さんは無実 埼玉で街宣行動

 新型コロナ感染拡大に伴い、大阪では狭山街宣活動ができない状態が続いています。大阪府連ではこの間、石川さんの無実を証明できる新証拠などについて随時ホームページで情報発信をおこなってきました。今回、大阪府連が作成した狭山街宣チラシが埼玉県の「石川一雄さんを支える埼玉東部市民の会」の皆さんによって配布されました。

 狭山街宣チラシを数年前に受け取った「石川一雄さんを支える埼玉東部市民の会」の西田さんから「同じようなチラシを作りたい」と相談を受けたことがきっかけでやりとりを重ね、大阪府連でチラシを作成し埼玉県へ送付しました。
 「石川一雄さんを支える埼玉東部市民の会」では石川一雄さんが不当逮捕された5月23日にあわせて23デーを企画されています。2021年6月23日も南越谷駅前で街宣活動がおこなわれ、1時間の行動で用意した150枚があっと言う間になくなったとのことでした。チラシを受け取った市民の方からも「がんばってください」、「許されないですよね」と声をかけていただいたそうです。市民の会では今後も23デーに合わせてとりくまれる予定です。
 狭山事件を通じてご縁が生まれ、大阪府連のチラシを埼玉県で活用していただき、大変うれしく思っています。

↑大阪府連が作成した「石川一雄さんを支える埼玉東部市民の会」のチラシ



不当逮捕から58年。5.23ビデオメッセージ

石川一雄さんが不当逮捕された日の5月23日に毎年狭山市民集会が開催されていたが今年も新型コロナ感染拡大にともない集会が中止になった。石川一雄さん、石川早智子さんがビデオメッセージで支援を呼び掛けているので紹介する。

 

石川一雄さんは「今年こそは勝利するのではないか」とのべ「検察官は弁護団が出した数々の新証拠に対しての反論反証をするということから若干伸びるのではないかと思うが無実を勝ち取るまで不屈の精神で闘っていく決意。三次で勝利するために、今後も懸命に闘いを続けていきたい。えん罪が晴れるまでは皆様方のお力添えをさらにお願いして訴えに変えたい」などとのべた。

 

 2018年8月に提出した下山第二鑑定では石川さん宅で発見された万年筆で書いた数字のインクと被害者が事件当日に書いたペン習字浄書のインクなどに含まれる元素を調べ被害者のインクからはクロム元素が検出されたが発見万年筆からは検出されなかったことを科学的に証明した。検察は反論も反証もできず、2020年5月に「クロム元素が検出されなかったのは万年筆の水洗いをした上で別のインクを入れたからである」と主張するがそれを裏付ける証拠は何もない。

 

 そのことに対して早智子さんは「根拠もない水洗い説に怒り心頭で腹が立って仕方ない。冷静に考えると根拠のない説を突然出さなければいけなくなったのは狭山の闘いが検察をここまで追い込んでいると考えられることかもしれない」とのべ、「各地で狭山の闘い熱い思いに鼓舞されている。裁判所に鑑定人尋問、事実調べをおこなえという声を届けていただきたい。声が大きいほど狭山は動く。真実は必ず明らかになる」と支援を訴えた。

 

 2009年の三者協議で裁判長が証拠開示を勧告し、これまで191点の証拠が開示されてきた。弁護団は開示された証拠をもとに数々の新証拠を提出。開示された証拠そのものも新証拠として提出してきた。

 中北龍太郎弁護士は新証拠について説明。

 裁判では石川さんが作成した図面をもとに被害者の「カバン」が発見されたとして犯人しか知り得ない「秘密の暴露」にあたるとされた。しかし開示された鞄発見に立ち会った捜査官5人連盟の捜査報告書には鞄を捨てた場所は特定されていないことがわかり発見経過に疑問が残る。犯人しか知らない秘密の暴露がまったくでたらめなことが明らかになった。他にも証拠開示された取り調べの録音テープによって自白の強要、誘導が明らかになり自白調書に信用性がなく石川さんの無実が明らかになったことや足跡、スコップ、万年筆関連などの新証拠を紹介した。

 中北弁護士は最後に「裁判所に鑑定人請求をしてその実現を認めさせて実施に踏み込んでいきたい。非常に重大な局面に入っていく。今後も支援を」と呼び掛けた。
 また、2021年6月1日には、えん罪被害者の仲間として菅家利和さん桜井昌司さん鎌田慧さん
もメッセージを寄せている。昨年2月に余命一年と宣告を受けた桜井さんはますます元気になっているとのべ、「裁判所を動かすのは社会常識しかないと思う。科学的事実や真実を無視する判断を許さないためにもみなさんで声をあげて80を超えた石川さんの無実を取り戻したい」と支援を呼び掛けた。鎌田さんは「犯人が書いた脅迫状と当時の石川さんの筆跡はまったくちがい、脅迫状が無実を示す証明と訴えていきたい。無罪判決を勝ち取るまでがんばっていきたい」などと話している。桜井さんはマガジンハウスから著書「俺の上には空がある広い空が」を出版しその紹介

 のビデオメッセージも寄せている。


不当逮捕から58年 石川さんがメッセージ

 新型コロナウィルスの出現に因って、私自身糖尿病であることから、本来全国各地に支援要請のお願いの活動をしなければならないのに、足止めされ、残念無念の思いを抱きつつ15か月が経過してしまいました。当然、新型コロナウィルスの終息時に備え、万全の構えでおりますが、現在においてもなお感染拡大傾向にあり、溜息の出る日々であります。しかしながら、支援者皆様の、狭山の闘いを止めないとの強い熱意の下で、各地での闘いは継続されており、心強く、且つ感謝と相済まない気持ちで一杯です。

特に大きな山場であるこの時期は裁判所への要請行動が効果的であると思われますが、私自身が率先して高裁前に立つこともできず、残念な気持ちを禁じえません。ずっと開かれてきた523狭山中央集会も、昨年に引き続き、コロナ禍で、中止を余儀なくされました。残念ではありますが、「いのち」を守ることを最優先に考えれば、仕方のないことでありました。

ただ常に疑心暗鬼を払拭出来ないのは、私の無実を示す証拠がたくさん存在する中で、再審の門を開こうとしなかったこれまでの裁判官の姿勢であります。言及するまでもなく、近年、無期刑の受刑生活を強いられた6人の人たちが再審無罪になりました。この人たちは、最高裁で有罪と認定され、1020年、30年と無念の受刑生活を余儀なくされましたが、無実の人を有罪に追い遣った裁判官はなんら、反省もせず、謝罪もしないことに満腔の憤りを覚えます。

冤罪者は、一人の人間の一生だけでなく、家族も巻き込み、差別、偏見、悲しみ、怒りなど、塗炭(とたん)(くる)しみの中で生きざるを得ない状況に追い込まれます。狭山事件のように、被差別部落の者が冤罪に巻き込まれたときは個人の問題でなく、被差別部落全体が犯罪者集団の様な扱われかたもされてきました。公平で公正であるべき裁判官が検察側に軸足を置き、忖度(そんたく)し、結果として、誤った裁判で有罪にしたのですから、司法の府としての黒い法衣を纏う資格などないと、断罪せねばならないと思うのです。

私の裁判でも第2次再審までは、最高裁が関わったが、事実調べもせず、確定判決を追認踏襲したに他ならないことは、皆さんも知っての通りです。今の裁判官には、過去の過ちの反省の上に立って、鑑定人尋問をおこなうなどして、弁護団より提出された新証拠を徹頭徹尾調べつくし、再審の門を開いて頂きたく願わずにはおれません。

この狭山第3次再審こそ、私は乾坤(けんこん)一擲(いってき)で臨む所存でありますので、何卒皆様も感染防止に十分に気を付けられた上で、本審で冤罪が晴れますよう最大限のお力添えを賜りたく、衷心よりお願い申し上げます。

523石川一雄不当逮捕58カ年糾弾集会へのご挨拶に変えて失礼いたします。

 

 

今の司法金城(きんじょう)鉄壁(てっぺき)(あなど)らず 証拠(しょうこ)(たずさ)(きん)(こん)一番で(のぞ)

 

2021年5月      石川 一雄

※金城鉄壁・・・防備が極めて堅固であること/※緊褌一番・・・気持ちを引き締めて事に当たる


証拠開示が実現すれば無実は明らか 第46回三者協議

 2021年4月27日に第46回三者協議が東京高裁でひらかれました。

 東京高裁第4刑事部の大野勝則裁判長と東京高等検察庁の担当検察官、中山主任弁護人をはじめ弁護団10人が参加しました。

 協議で検察官はスコップ関連の証拠開示について検討しているとしたうえで、捜査資料があれば提出するとしました。次回三者協議は7月中旬に行われる予定です。

 寺尾判決では死体発見現場近くで発見されたスコップが死体を埋めるのに使われたもので石川さんが以前働いていた養豚場のものを盗んで使ったと認定し有罪の根拠としました。

スコップは死体発見現場から約125メートルしか離れていない場所から発見されました。そこでは連日、大掛かりな捜索がおこなれていた場所なのに発見されませんでした。また、スコップについていた土は死体が埋められていた場所の土と一致していないなど不自然な点が多く、発見されたスコップが死体を埋めるのに使われたものでないことは明らかです。

弁護団は昨年12月に平岡第三意見書を提出し、死体発見現場付近は地形の形成過程から非常に複雑な堆積の様相をしており、対象資料の土を採取した穴が死体発見現場の近距離であっても土の堆積状況が異なる可能性が高いと指摘した。なぜ死体発見現場から土を採取なかったのか鑑定結果を明らかにする必要があり、土を採取した際の捜査報告書類、採取記録や採取現場を指示した書類などを証拠開示するよう求める証拠開示勧告申立書を提出していました。

 

 石川一雄さんがえん罪におとしいれられて5月には58年を迎える。早急に鑑定人尋問をおこない、再審を開始すべきである。そのためにも東京高裁、東京高検宛ての再審を求める要請はがき行動に一人でも多くの人の協力を呼び掛けている。


5.25狭山中央集会中止

 5月25日に東京の日比谷野外音楽堂で開催予定だった狭山中央集会は新型コロナ感染拡大の状況をふまえて中止することになりました。
 各地域で狭山再学習のとりくみや要請はがき行動を呼び掛けていただきますようお願いいたします。


狭山活動者会議

  狭山活動者会議・狭山住民の会全国交流会が2021年3月29日にHRCビルでひらかれた。

石川一雄さん、早智子さんは昨年から新型コロナ感染防止のため各地の集会などに参加せず、コロナが終息するまで家で活動を続けている。今回もビデオメッセージを寄せた。

石川さんはあいさつで、「寺尾判決の不当性が万年筆などの新証拠をもとに弁護団のたゆまぬ努力によって無実が明らかになった。事実調べ、鑑定人尋問をおこなえばえん罪は明らかになるはず。裁判所へ対して一層の働きかけをお願いしたい」などと支援を呼び掛けた。

早智子さんは支援者へお礼をのべたあと、「3月11日は浦和地裁で死刑判決が出されて57年を迎える。毎年集会が開かれるが今年もビデオメッセージで参加となった。事実調べ鑑定人尋問をさせる闘いを進めている。そのためにも大きな世論が必要」と訴えた。

 中北龍太郎弁護士から弁護団報告がおこなわれた。

寺尾判決では自白を離れて客観的に石川さんと犯行の結びつきを示す7つの状況証拠と石川さんの自白によって証拠が発見されたとした秘密の暴露によって石川さんを犯人と断定した。弁護団は三者協議で開示された191点の証拠をもとにこれまで241点の新証拠を提出し石川さんの無罪を証明してきた。特に下山第二鑑定では被害者が使っていた万年筆のインクと石川さん宅で発見された万年筆のインクがちがうことを科学的に証明した。それに対して検察官は「被害者は万年筆を水洗いして別インクをいれたことが推認される」と意見書を提出。弁護団は何の根拠もなく検察官の憶測の積み重ねだけであることを厳しく反論してきた。

組坂繁之・中央委員長はあいさつで「74年の寺尾判決では石川さんの両親をガードする青年行動隊メンバーとして法廷にはいった。死刑判決から無期懲役になったが狭山事件は部落差別に基づくえん罪事件でありなんとしても勝利しなければならない」などとのべた。


「生きている間に無罪を勝ち取る」 狭山集会で石川さんが訴え

 この願いきっととどく第5回狭山事件の再審を実現しよう市民のつどいin関西が131日に大阪市北区民センターホールでひらかれた。

 袴田事件では昨年末に最高裁が、再審・裁判のやり直しを認めなかった東京高裁の決定を取り消し、高裁で再び審理するよう命じ再審の扉がひらかれようとしている。集会では「次は狭山」を合い言葉に狭山事件再審に向けて学習、交流をふかめた。

 緊急事態宣言の期間の中、新型コロナ感染拡大を防ぐために石川一雄さんはビデオメッセージで参加した。石川早智子さんは昨年の袴田事件高裁再戻し決定について「画期的なニュースが飛び込んできた。次は狭山。今年こそ動かす一年になるように期待したい」などとのべた。石川一雄さんは袴田巌さんと東京拘置所で6年間共に過ごしたことから「巌ちゃんおめでとうございます」とのべ、「今年は狭山の番、3次再審開始以外に裁判はないつもりで闘っていきたい」とし、

 腰を据え 闘い続けて 3次 証拠はそろい 勝負の年

の歌を披露。「生きている間に無罪を勝ち取るためさらなる支援をお願いしたい」と訴えた。

  袴田秀子さんは「再審へ向かって良い方向へ向かっている。一生懸命50年がんばってきた。長い裁判だったのでまさか年末に決定がくるとはおもわなかった」とのべ「巌の元気なうちにがんばって再審開始を求めたい」とした。

 東住吉事件で犯人とされ無実を勝ち取ったえん罪被害者の青木惠子さんが報告。

この事件は1995年に自宅土間兼車庫付近から出火し入浴中だった長女が逃げ遅れて亡くなった。青木さんは内縁の夫と共に保険金目当ての放火殺人とされ、20年の獄中生活のあと、再審によって無罪を勝ち取る。現在は大阪地裁で国家賠償請求訴訟を提訴。全国各地でえん罪事件について訴えている。

青木さんは突然亡くなった娘の死に耐え切れないほどの悲しみの中、警察から出火原因を聞けると思い事情聴取に協力し任意同行したが密室の取り調べで「やっていない」といっても信じてもらえず、ウソの自白に追い込まれた様子を語った。

9時から夜中12時まで取り調べを受け、娘を亡くしたショックで食事もとることができず市民の見方だと思っていた警察にウソの自白においこまれた。その後否認し裁判に挑んだ。裁判所はわかってもらえると思っていたが無期懲役に。

青木さんは3年間の高校生活の時に毎日電車の中から矢田を通るとグランドに「石川さんを救え」と書かれているのを見ていた。狭山事件のことは知らず、誘拐事件と思い関心を持たなかった。あの時もっと関心をもっていればえん罪事件がどういうものなのかということが分かったのではないか。石川さんには勝った時の喜びを一日も早く味わってほしい。多くの人はやってなければやってないといえばいいと思い込んでいるが、あの取り調べで否認し続けることは難しく経験してみないとわからない。えん罪は本人だけでなく家族の人生もくるわせてしまう。検察警察が証拠を隠している全証拠を開示させればえん罪を訴えている仲間の再審がかなうはず。再審法を改定させなければならない。

 湖東記念病院のえん罪被害者も同じ獄友の仲間。えん罪犠牲者の会にも参加し多くのえん罪事件の無実を勝ち取るために活動している。

最後に、212日の国賠裁判では取り調べ警察官の証人尋問がおこなわれる。今年判決を迎えることになるが今後もえん罪被害者の力になれるようにがんばりたいなどとのべた。

 河村健夫弁護士は狭山裁判の近況について報告。狭山事件では2009年にはじめて三者協議がひらかれ、これまで開示された証拠をもとに弁護団は241点の新証拠を提出してきた。

 弁護団が出した新証拠に対して検察官はそれに対して反論をだしたあとに再度弁護団が反論する。3回往復したあとに裁判所が判断する仕組みでほとんどの論点で再反論が終わり、次は裁判長の判断が求められる。

3次再審は最終局面を迎えつつある。事実調べを勝ち取れないまま裁判所が判断するようなことがあれば期待できないと考えている。実現させるためには昨年新しく就任した大野勝則裁判長にどう理解してもらうかが大事。証拠調べを迫っていくことが大事。日産のゴーン事件では世間の注目を浴び、通常ではおこなわない保釈を認めている。狭山事件でもいい加減な判断を許さないという世論の声を高めていく必要があるなどとのべた。

 

他にも全国各地の取り組みなどについて報告があった。集会終了後にはパレードもひらかれた。



次こそ狭山   2021年新年メッセージ

 新年あけましておめでとうございます。昨年の年末に、袴田事件で最高裁が再審開始を認めなかった東京高裁決定を取り消し高裁に審理を差し戻すことが決まりました。「次は狭山」を合言葉に今年も再審開始へ向けて微力ながらも取り組みを進めていきたいと考えています。

 

 石川一雄さん、早智子さんから新年メッセージが寄せられましたので紹介します。

 石川早智子さんは「今年は勝負の年。昨年終わりには袴田事件で最高裁が高裁棄却を差し戻す画期的な大きなニュースが年末に飛び込んできた。その時に次は狭山だという思いをもったが全国から次は狭山と励ましの言葉をたくさんいただいた。今年こそ動かす一年になるように皆様のご支援をお願いしたい」とのべました。

 

 石川一雄さんは支援者へ感謝のお礼をのべたあと、袴田事件で再審開始が実現されるかもしれない動きについて「巌ちゃん、ほんとうにおめでとうございます。東京拘置所に6年間共に過ごした時代があり、ともにがんばろうといったことが実現したことがうれしい。(狭山事件は)今年58年目になる。今度こそ無罪を勝ち取るために一生懸命闘っていきたい」などとのべました。

 

最後に短歌を披露しましたので紹介します。

腰を据え闘い続けて第三次

 

証拠はそろい勝負の年。


裁判官2人が「再審開始すべき」再審可否東京高裁へ差し戻し

 

  石川一雄さんと同じく無実なのにえん罪の濡れ衣を着せられた袴田巌さんは84歳を迎え、現在も最高裁判所で審理中です。最高裁第三小法廷(林道晴裁判長)は、2020年12月22日に裁判をやり直す「再審」の開始を認めなかった東京高裁決定を取り消し、高裁に審理を差し戻しました。高裁が改めて再審の可否を審理し直すことになり、無罪を勝ち取るための再審の扉がひらかれようとしています。今回、5人の裁判官のうち3人の多数意見があり、「差し戻しではなく再審を開始すべきだ」とふたりが反対の立場をとりました。再審に関する最高裁の審理で反対意見がついたのは初めてです。

 

 袴田事件は1966年の一家4人強盗殺人事件で死刑が確定した袴田さんは2014年、静岡地裁の再審開始決定により約48年ぶりに釈放されました。その年の10月に日比谷公園で開催された狭山中央集会で姉の秀子さんとともに袴田巌さんも駆け付けました。秀子さんは「巌は無罪になったわけではない、無罪放免になるまで石川さんともどもがんばっていきたい」とアピールしました。

巌さんは長年の拘置所生活で患った拘禁症状の影響が強く残っていますが、現在は日課の散歩を毎日欠かさずおこない支援者と共に再審開始を求めてきました。

 

 次は石川一雄さんの再審開始を実現させるべく今後も世論の声を高めていかなければなりません。


石川さんの無実を示す新証拠は241点に 第45回三者協議

第45回三者協議が2020年12月21日、東京高裁でひらかれました。

協議では、弁護団から、足跡、万年筆、スコップ、血液型に関して提出した新証拠と補充書の説明をおこない、検察官は、これら弁護団が提出した新証拠について、意見書の提出もふくめて、対応を検討するとしました。スコップに関して弁護団が提出した証拠開示勧告申立書についても検討するとしました。弁護団からは、開示を求めている証拠の存否を書面で明らかにしてほしいと求めましたが、現時点では回答できないとしました。

弁護団は、検察官の回答もふまえて、鑑定人尋問の請求を準備すると伝えました。

 次回の三者協議は2021年4月下旬におこなわれる予定です。

 

弁護団は今後、検察官意見書に対する反論を提出するとともに、来年には鑑定人尋問の請求をすることにしています。

1977年8月以来43年以上も再審を求め、これまでに241点の新証拠を提出してきましたが、一度も鑑定人尋問などの事実調べがおこなわれていません。大野勝則裁判長が鑑定人尋問をおこない再審を開始するよう求める世論を広げることが必要です。

 

 

 

↑石川さん宅から押収された地下足袋

 弁護団は12月に、3次元スキャナによる計測にもとづいた足跡鑑定など13点の新証拠と再審請求補充書を提出しました。 

犯人が逃げた現場近くの畑の中で犯人のものと思われる足跡が発見され警察が石こうを流して採取し十文ないし十文半の大きさとされていましたが石川さん宅から押収された地下足袋は九文七分でした。警察は現場の足跡は九文七分の押収した地下足袋によってできたもので破損痕も一致するという鑑定書をつくりましたが押収された足袋と現場足跡とは一致しないことを証明しました。

 

12月8日に提出した足跡新鑑定は、東京高裁に保管されている現場足跡の石こう型、石川さん宅から押収された地下足袋で作成された対照足跡の石こう型等を、3次元スキャナを用いて立体形状を計測し、そのデータにもとづいて、有罪の根拠となった事件当時の埼玉県警鑑識課員による足跡鑑定(関根・岸田鑑定)を検証したものです。

 

関根・岸田鑑定は、現場足跡と石川さん宅から押収された地下足袋で作成した足跡石こう型について、地下足袋のゴム底のはがれ(破損)が石こう型に印象されている破損痕が両方に見られるとして、足跡の写真(白黒の平面写真)を撮り、その写真上に点を記入して、長さや角度を測って符合するとしています。そもそも、足跡石こう型は立体形状なので、奥行きの情報のない平面写真で足跡の類似性を議論することは無理があります。足跡新鑑定では、関根・岸田鑑定が平面写真上に記入した点を3次元スキャナで計測した立体形状に対応させ、ズレていることを明らかにしています。平面写真上で計測して長さや角度が一致するとして、現場足跡と対照足跡の特徴が符合するとした関根・岸田鑑定の結論が誤っていることが明らかになっています。

 

また、足跡新鑑定は、3次元スキャナによる計測によって、現場足跡と対照足跡の重ね合わせをおこない、「破損痕」とされた部分の3次元形状(立体形状)には大きな差異があり、符合するとは言えないと指摘しています。

 

足跡新鑑定によって、現場足跡は石川さん宅の地下足袋によるものとして有罪の根拠とした寺尾判決の誤りが明らかになっています。

↑現場足跡と比較しても大きさが明らかにちがう。



寺尾判決から46年  石川さんが現地調査

 狭山事件で有罪確定判決となっている2審・東京高裁の無期懲役判決(寺尾判決)から46年を迎えた2020年10月31日に石川一雄さんは石川早智子さんとともに狭山現地をおこないました。その様子が「狭山差別裁判第510号」に掲載されているので紹介させていただきます。
 密室の取り調べによって石川さんは警察に騙されてウソの自白を自供しました。その自白に沿って狭山現地や遺体発見現場、スコップ発見現場を歩きました。

 自白の通りにたどるとあらゆるところで矛盾な点が多くあり、石川さんの無実を確信できます。狭山事件の事実調べ、現地調査を実施し、一日も早く再審無罪を求めています。

 石川一雄さんは「判決の前の最終意見陳述の時に寺尾裁判長をしっかり見て訴えたけど、あのとき、寺尾裁判長は目をそらしたように思いました。もう有罪の結論をもっていたんでしょうね」とのべ、判決の日は無罪になると思っていたので判決が出た後に拘置所に帰るときは足が重かった。当時のことを思い出すと悔しいし腹が立ちますねと語りました。

 石川早智子さんは、「東京高裁の大野裁判長には本当に鑑定人尋問をやってほしいと改めて強く思いました。『出会い地点』から『犯行現場』へむかう農道を歩くと高校生の被害者が抵抗もしないでついていったという自白は絶対おかしいと思います」と語りました。
 寺尾判決ではその不自然な経過について「とっさの出来事だったからズルズルとついていったということも考えられる」と不可解な判決を出しています。
 新型コロナの感染が拡大する中、狭山市民集会やあが中止になり、石川一雄さんは感染防止のため人との接触を避け、健康に留意されています。再審の扉をあけるために、要請はがき行動にとりくんでいただきますようお願いします。

※狭山差別裁判の冊子は部落解放同盟中央本部で購入できます。
 連絡先 電話03-6280-3360



一日も早く再審無罪を       貝塚で狭山学習会

 部落解放岸和田貝塚市民共闘会議、狭山学習会

部落解放同盟貝塚支部と部落解放岸和田貝塚市民共闘会議共催の狭山学習会が11月13日に貝塚市立ひと・ふれあいセンターでひらかれ約50人が参加した。
 主催者を代表して貝塚支部の北出新司支部長が開会あいさつで「狭山事件が発生してから57年が経過した。解放同盟として最初にこの事件にかかわったのは当時の青年だった。57年間、大きな課題として取り組んできたが、1日も早く無罪を勝ち取るためにも狭山事件の現状と課題について、学習を深めていきたい。」と語った。
 学習会では「狭山事件・部落差別に基づくえん罪事件」をテーマに府連の貝田歩組織部長を講師に、狭山事件の現状と課題について学習をおこなった。
 狭山事件は1963年5月1日に埼玉県狭山市で女子高生が行方不明になり死体で発見された。警察は付近の被差別部落に見込み捜査を集中し、当時24歳の石川一雄さんを別件逮捕。罪を認めれば10年で出してやると警察に騙され「ウソの自白」を自供させた。
 学習会で貝田さんは、「ウソの自白」をもとに事件当日の足取りを紹介。石川さんを見たという目撃者が一人もいないことや石川さんの指紋が一つも検出されないなどの事実を紹介し「石川さんの無実は明らかであり、2009年から三者協議で190点以上の証拠開示がおこなわれた。重大な証拠の一つでもある万年筆や、被害者と石川さんの筆跡は99.9%違うこと等が、石川さんの無実を証明している。これからは、みなさん市民が一体となった取り組みによる世論構築が重要になってくる。」と訴えた。

重大な証拠の一つでもある万年筆のちがい、筆跡については被害者と石川さんの筆跡が99.9%ちがうことなどがこれまでの証拠開示によって明らかとなった」ことについて学習を深めた。
 南野敬介副支部長より「各組織ごとに要請はがき行動の完遂を」との行動提起の後、部落解放岸和田貝塚市民共闘会議の澤田元博議長より、「先ほどの講演と行動提起でもあったように、第三次狭山差別裁判の闘いは重要な局面を迎えている。狭山要請はがきに取り組み、再審開始に向けた取り組みをさらに強化しなければならない」と閉会あいさつをおこなった。         


石川さんは無実です。  狭山ビラ作成

 狭山事件の確定有罪判決となっている1974年10月31日の寺尾判決から今年で46年を迎えました。10.31市民集会が新型コロナウィルスの影響により中止になりましたが、狭山事件を知らない多くの人へこの問題を知ってもらうために2020年11月に狭山チラシを作成しました。
 チラシには布川事件の桜井昌司さん、足利事件の菅家利和さん、袴田事件の袴田巌さんの姉の秀子さんらえん罪被害者の仲間たちのビデオメッセージを紹介しています。

 これまで開示された証拠をもとに弁護団は石川さんの無実を明らかにする新証拠を提出し続けてきました。無罪を勝ち取るため各地で狭山学習にとりくみ世論を高めましょう。



寺尾判決から46カ年 ビデオメッセージ

 狭山事件で確定有罪判決となっている東京高裁の寺尾正二裁判長が下した無期懲役判決(1974.10.31)から46年を迎える。弁護団は開示された証拠をもとに石川さんの無実を証明する200点以上の新証拠を提出してきた。
 全国各地で狭山事件の学習会開催に合わせて石川さんがビデオメッセージを配信している。
 石川一雄さんは「第三次再審へ向けて元気に力を蓄えている。第三次が最後の闘いと思ってみなさんと共に勝利できるようにがんばりたい」。

 石川早智子さんは「大野裁判長のもと事実調べ、鑑定人尋問をさせ、一日も早く再審開始、雪冤を晴らすための運動が盛り上がるようにお願いしたい」などとのべた。

 

  狭山事件の再審を求めるビデオメッセージを紹介します。

 狭山事件の再審を求める市民の会事務局長でルポライターの鎌田慧さんは「事件から57年寺尾判決から46年悔しい思いをしてきた。再審開始までがんばっていきたい。字を書けない人が脅迫状を書こうと思うかどうか。非識字者の屈折した倫理を全く理解できない。ふつうのエリートには全く分からない。石川さんは獄中で文字を学んだ。字を学ぶチャンスがなかったことも狭山事件をよく示している。人間平等であるという部落解放運動の原点にたち人間に光を求め石川さんの再審開始無罪決定を少しでも早く解決したい」などのべました。

 他にも狭山事件再審弁護団事務局長の中北龍太郎弁護士や布川事件冤罪国賠原告で冤罪犠牲者の会の桜井昌司さん、足利事件冤罪被害者の菅家利和さん、袴田事件冤罪被害者の袴田巌さんと姉の袴田秀子さんがメッセージを寄せています。

 


何としても第三次勝利を   石川さんがメッセージ

 例年なら日比谷野外音楽堂に於いて、寺尾不当判決糾弾の市民集会が開催されている筈ながら、今年は誰も予想しなかった新型コロナウイルスの出現により、狭山に関係する殆どの集会や、現地調査が中止・延期となってしまい、再審闘争も最大な山場での状況だけに、残念でなりません。

 

しかしながら、事件発生から57年、寺尾不当判決から46年になる狭山の闘いを止めてはならないという皆様の不退転の熱意が、各地での、集会や、学習会として継続して闘い続けて下さっていることに感謝の気持ちでいっぱいです。コロナ禍の中で、対策と工夫を凝らした闘いが進められていると思われますが、私、石川一雄のために結集して頂いた皆様方に、非常に心強く思うと同時に、なんとしても、この第3次再審で勝利して、終結せねばとの思いを強くしています。

 

 一方、狭山弁護団も、第3次再審にかける意気込みと、並々ならぬご努力に、私自身も、それに応えるべく、対応をしています。今は目が悪く、なかなか資料を読むことも厳しくなっていますが、体力維持につとめ、いつでも動ける準備を続けております。

 

 裁判長も変わり、仕切り直しの感はぬぐえませんが、これまで出された多くの無実を明らかにする新証拠があります。
 何としてもこれらの証拠の鑑定人尋問を実現させることが最重要であります。
 鑑定人尋問を実現させて、私が冤罪であることを理解してもらわなければなりませんので、どうか皆さん方も要請はがきや要請行動等、行動を起こして頂きたく、心からお願い申し上げて、私のご挨拶とさせていただきます。

 

           狭山では 伝家の宝刀 下山の 鑑定結果が 動かぬ証

 

2020年10月  狭山支援者各位様

              石川一雄


10.31寺尾判決市民集会は延期 再審開始へ要請はがきを送ろう

 

新型コロナウィルス感染予防にともない、10.31狭山事件の再審を求める市民集会が中止になり、大阪では街宣行動も延期になりました。
 石川さんの再審を求めて何かできないかと考え、鑑定人尋問、再審開始の実現へ向けて東京高等裁判所の大野勝則裁判長あての要請はがきを呼び掛けています。一日も早く再審開始の扉をひらくために支援者の声を裁判長に届けませんか。
 
大阪府連が作成したはがき(右白地)の他に、部落解放墨田区民共闘会議が作成したはがき(左3枚)を紹介させていただきます。
  

 

 はがきの裏面には三者協議によって開示された証拠をもとに石川さんの無実を示す新証拠や石坂啓さんのイラストが紹介されています。
 秋の夜長に再審開始実現へ向けて要請はがきを書いて声を届けませんか。

 

 

要請はがき送付先
●大野裁判長宛て 100-8933 東京都千代田区霞が関1-1-4
東京高等裁判所第4刑事部 裁判長 大野勝則様

 

●東京高等検察庁宛て 100-8904 東京都千代田区霞ヶ関1-1-1 東京高等検察庁 御中

 



新裁判長で初の三者協議 鑑定尋問、再審開始へ英断を

  第44回三者協議が925日に東京高裁でひらかれた。大野勝則裁判長が就任し初の三者協議となり、再審を求め43年以上も経ち、鑑定人尋問、再審開始へ裁判長の英断が求められる。

 弁護団は、9月23日に新証拠と再審請求補充書として福江鑑定人による「筆跡鑑定の従来法と新鑑定法について(所見)」「コンピュータによる筆跡鑑定法について(解説)」と題した2通の書面を提出した。

2018年1月15日に裁判所へ提出した福江鑑定書は犯人が残した脅迫状の筆跡が99.9%の確率で石川さんと別人のものだと科学的に証明した。

  弁護団はコンピューターを使って筆跡鑑定を研究する東海大学(当時)の福江潔也教授に鑑定を依頼し犯人が残した脅迫状でくり返し使われていた「い」「た」「て」「と」の4文字を石川一雄さんの筆跡と比較したところ、脅迫状の筆跡と石川さんの筆跡は形が大きくずれていて、99.9%の確率で別人のものだと考えられると証明した。

その後、検察官弁護団とも反論を繰り返し、昨年10月に検察官が福江鑑定の手法によって筆者が同一化か否かを判断することは適切でないと反論した。

 そのことに対して今回弁護団が提出した補充書は、検察側の意見書が「限定的なデータベースに基づく」「問題がある」とくりかえすだけで、何ら具体的に批判していないこと、福江鑑定の「コンピュータによる筆者異同識別」の手法は、2005年に法科学技術学会で発表されて以来、学会発表論文などにおいて科学的根拠があることが示されており、特許も取得されていることなどを指摘した。

  脅迫状と石川さんの筆跡のちがいはコンピュータを使わなくても誰が見ても明らかで、警察側の鑑定のデタラメさがあらためて証明された。

 検察官は、寺尾判決が有罪の根拠の一つとしたスコップに関して、元京都府警科捜研技官である平岡鑑定人が、死体を埋めるのに使われたものとも、I養豚場のものとも言えないことを科学的に指摘した平岡鑑定等について反論する意見書を7月に提出。弁護団は証拠をもとに全面的に反論する予定。

 次回三者協議は12月下旬に行われる。

 



えん罪が晴れると確信している  石川さんビデオメッセージ

 2020年夏、コロナ禍の影響により、全国各地で狭山事件の差第三次再審をもとめた活動や集会に石川一雄さん、石川早智子さんが参加できない状況が続いていることを受けて、石川さんのビデオメッセージが部落解放同盟中央本部HPにUPされたので紹介します。

 

石川一雄さんは「狭山事件はみなさまの支援があってこそえん罪が晴れると確信しながら焦ることなく一歩一歩勝利するのみ。えん罪が晴れるまでご支援をおねがいしたい」。

 

石川早智子さんは「このような状況でも全国各地で狭山再審を求める活動が続いていることに感謝している。大野裁判長になんとしても鑑定人尋問させるため日々闘い続けている。最後のチャンスかもしれない第三次再審にこころから支援をお願いしたい」などとのべられていました。




新証拠は226点に   第43回三者協議

第43回三者協議が2020年6月18日に東京高裁でひらかれました。

 

検察官は三者協議に先だって、弁護団が提出した下山第2鑑定など万年筆に関する新証拠に対する反論を提出。下山第2鑑定について、科学的な反論ではなく、推測と可能性を積み重ねて、発見万年筆のインクと被害者が使用していたインクの違いをごまかし、確定判決や第2次再審の特別抗告棄却決定の判断の通りであるとのべているだけです。弁護団は、再反論する予定です。

 

 被害者の使用していたインク瓶が2013年7月に証拠開示され、そのラベルをパイロット社に確認し、インクは当時販売されていたジェットブルーインクでクロム元素が含まれることがわかりました。

 

下山鑑定人は、蛍光X線分析装置を検察庁に持ち込み、2016年10月に証拠開示された発見万年筆で書かれた数字のインク、被害者が事件当日の授業で書いたペン習字浄書のインク、被害者が使用していたインク瓶のインクの元素分析をおこない、ペン習字浄書や被害者のインク瓶のインクからは、クロム元素(Cr)が検出されましたが、石川さん宅で発見された万年筆で書いた数字のインクからは、鉄元素(Fe)が検出され、石川さん宅で発見された万年筆は被害者が事件当日まで使っていたインクの成分とちがうことが科学的、客観的に明らかになりました。

 

石川さんの自白通りに被害者の万年筆が発見されたとして有罪の根拠とした確定判決には合理的疑いが生じており、早期に再審を開始すべきです。

 

 

弁護団は、2020年6月15日付けで再審請求補充書と新証拠1点を提出。石川さんの自白後におこなわれた7月1日の捜索報告書が第三次再審で証拠開示されました。

腕時計は、7月2日に民間人が散歩中に気づいて発見したとされていますが、警察は、それ以前に6月29日、30日の2日間にわたって捜索をおこなっていました。

 

捜索した範囲が図面上に記載されており、腕時計発見場所も捜索範囲内であったことが明らかになりました。しかも、捜索に従事した警察官らの証言などから十分な捜索体制であったことも明らかです。警察官らの捜索で発見されず、その後に民間人が「散歩中にチラッと見えたので発見した」という経過は明らかに不合理・不自然であり、腕時計発見は自白の真実性を補強するとはとうてい言えない、秘密の暴露にはあたらないと主張しています。

次回の三者協議は9月下旬におこなわれる予定です。石川さんの無実は明らかです。第三次再審請求でなんとしても再審開始決定を勝ち取らなければなりません



今年中に再審の扉を       激励はがきが届きました

 えん罪狭山事件のホームページは、石川さんが有罪とされた一つ一つの証拠をもとに不自然な点を紹介し、狭山事件を知らない若い世代をはじめ多くの人へ石川さんの無実を届けたいという思いでスタートし、これまでのアクセス数は18000件を超えています。
 その思いが通じたのか、先週(2020年6月)、府連事務所に千葉県在住の方から激励のはがきが届きました。そこにはこのサイトを素晴らしいと言っていただき「これを機により多くの人が狭山事件に関心を持ってくれるよう願っています」と書かれていました。
 その後、はがきに書かれたメールアドレスへ連絡をとり、このホームページと解放新聞大阪版に掲載する許可を得ることができ「石川さんの再審の扉をぜひ今年中にも開きたい」、「皆様も、検察の態度には歯がゆい思いでいらっしゃると思いますが私のように、遠くからでも、石川さんや石川さんへの支援活動に声援を送る者がこの社会には多くいること、あたまのすみにとどめて頂ければ幸いです」と言っていただきました。
 小さなことからコツコツととりくんできたことが遠く千葉にまで届いていたことを知り大変感動した次第です。日々更新を重ねていこうと思いました。 
 

再審開始すれば無実は明らか 支援者へチラシを配布

 1963年5月23日に石川一雄さんが不当逮捕されてから今年で57年を迎えます。大阪4か所で予定していた狭山街宣行動と5月22日に予定されていた狭山市民集会は新型コロナウィルスの影響により中止になりました。石川さんからいただいたメッセージの紹介と狭山事件を再学習するためのチラシを作成し支援者へ配布しましたので紹介します。


第42回三者協議 検察は今回も万年筆インクの反論できず

 2020年3月19日、東京高裁で第42回三者協議がひらかれました。

 

検察官は三者協議に先だって、弁護団が提出した法医学鑑定(殺害方法、血液型)に対する反証を提出しましたが、そのほかの今後の反論の提出について、つぎのように述べました。

 

1、下山第2鑑定については、当時のジェットブルーインク(クロム元素を含むジェットブルーインク)が入手できなかったので、実験などはおこなわず、検察官の反論の意見書を提出する。弁護団が提出した原・厳島鑑定(心理学実験にもとづいて万年筆の発見経過が不合理であることを指摘した鑑定)に対する反論とあわせた意見書として、5月中に提出する。

 

2、スコップに関して弁護団が提出した平岡第2鑑定に対する反証を提出する。次々回の三者協議をメドに提出する。

 

3、そのほかの論点についても記録を検討し、反論、反証が必要なら随時提出する。

 

 弁護団は、検察官から反証、反論が提出されれば、再反論することにしています。

 

 また、現在準備中の新証拠として、3次元スキャナを用いた計測にもとづく足跡鑑定、コンピュータによるデータ分析の手法を用いた取調べテープ分析鑑定、福江鑑定人による第2意見書を、5~6月に提出する予定であることを裁判所に伝えました。そして、その後、事実調べ(鑑定人尋問)を請求することも伝えました。

  弁護団は3月3日付けで手ぬぐいについて、再審請求補充書と新証拠1点を提出。被害者を縛っていた手ぬぐいは米穀店が得意先に配ったうちのひとつでした。事件直後の捜査で石川さん宅にある未使用の手拭いを警察官が現認し、その後、警察に提出されています。これで、犯行に使われた手拭いは石川さんの家のものではないことになるはずですが、検察官は「義兄宅または隣家から都合を付けて提出した」と主張し寺尾判決はそれをうのみにして有罪の根拠としました。

 

今回の補充書で弁護団は、有罪判決の認定は結論ありきの推測を重ねたもので、開示された捜査資料など、これまで提出した新証拠を総合的に見れば有罪判決に合理的疑いが生じていると主張しました。


「万年筆は偽物」高橋弁護士が解説

 

部落解放地方共闘全国交流会の二日目、2019年11月19日に狭山学習会と現地調査がおこなわれましたので紹介します。

 

  狭山事件のいま~下山鑑定を中心に~をテーマに狭山弁護団の高橋俊彦弁護士が講演をおこないました。

 

石川さん宅で発見された万年筆が、被害者の万年筆ではないことを証明した下山第二鑑定が2018年に新証拠として提出されましたが、検察は一年以上が経った今も反証できずにいます。

 

万年筆の発見方法もおかしなてんが多く、二度の家宅捜索で発見されなかった万年筆は3度目の家宅捜索で発見されました。(いつも玄関から入っていた警察官はその時はなぜか万年筆が発見された鴨居がある勝手口から直接入っていくなど不審な点が多くありました。)

 

 弁護団はインクで書かれた文字を分析したらどうなるかと考え、絵画や文化財などの顔料や資料を蛍光X線分析している下山進・吉備国際大学名誉教授に鑑定を依頼。検察庁へ閲覧手続きを申請し、検察庁へ蛍光X線分析装置を持ち込み保管されている証拠品①被害者が使っていたパイロット製ジェットブルーインク➁友人が持っていたブルーブラックのインク③事件当日被害者が書いたペン習字④石川さん宅で発見された万年筆で被害者の兄が書いた数字⑤被害者が立ち寄ったときに補充したとされる郵便局のインクを分析しました。分析結果では特徴がある元素として①と③にはクロムが➁、④、⑤には鉄が検出されました。発見された万年筆が被害者の万年筆であったとは言えないことが証明できました。

 高橋弁護士はそれが証明できたときの様子を紹介し「バンザイしたい気分だったが検察の職員もいる中で飛び上がることができなかった」などと語り、3度目の家宅捜索で発見した経過は誰が見てもねつ造でしかないが再審ではその主張を証明していかなければならなかった。立証がどこまでできるか厳しく、下山第二鑑定は別の視点から科学的に証明できた。分析は誰がやっても同じ結果しか出ず、検察がどんな反証をしてくるのか想像がつかないなどとのべました。

 

  2部では密室の取り調べでウソの自白に追い込まれた石川一雄さんの自白に沿って駅前から犯行現場とされた場所などへ現地調査をおこないました。

 狭山事務所へ到着すると石川一雄さん早智子さんが出迎えてくれ、石川さんは「来年こそは切磋琢磨に闘っていく。一日も早くえん罪が晴れるよう今後ともさらなる支援をお願いしたい。」などとあいさつしました。

 

 

 



再審開始を 高検高裁へ請願行動

 

今から45年前の10月31日、東京高裁で寺尾裁判長は石川さんの無実の訴えと数々の証拠を無視し、無期懲役判決を言い渡した。この判決が最高裁で確定し石川さんは今も無実を訴え続けている。

 

 20191031日に日比谷公園で狭山事件の再審を求める市民集会がひらかれた。

 

その前段集会に80人ほどの支援者が駆け付けた。石川一雄さんはあいさつで「私たちの闘いも忍耐の限界がある。第三次再審で何とか決着させたい。不退転の決意で闘っていく。楽観せずに石川一雄のためにこれからも応援していただきたい」とあいさつ。石川早智子さんは「この秋から春の闘いは今後の石川一雄の人生に希望を持って生きていけるか瀬戸際の重要な時期。10.31を闘いぬいていただきたい。」と支援を呼び掛けた

 

 

   東京高裁、東京高検で代表者20人が請願行動をおこない、東京高裁前で石川早智子さんが「45年前の寺尾判決が下される日に東京拘置所を出るときに石川一雄はいつでも出れるように荷物をまとめておくように係員から言われたという。誰もが石川の無実、無罪を信じていたことがわかる。思いもかけぬ有罪判決が下された。いくつもの新証拠を見れば無実であることは明らか」などとのべた。

 



寺尾不当判決から45年 一日も早く再審無罪を。

 

   日比谷野外音楽堂でひらかれた狭山事件の再審を求める市民集会でミュージシャンのうじきつよしさんがオープニングを飾った。

 

 

 石川一雄さん、早智子さんのあいさつを紹介する。

 

 石川さんは「今から45年前の今日、寺尾裁判長は無期懲役という不当判決を下した。東京拘置所を出るとき(係員も戻ってくると予想していなかったが)寺尾の不当判決によって拘置所へ戻り現在に至っている。自分の信念を曲げずに今日まで来た。新証拠によって(証人尋問をおこなえば)私の無実が明らかになるはず。これからも忍耐強くたたかっていきたい」などとのべた。

 

 

 早智子さんは「刑務所の中で看守から文字を学んだ一雄さんは自分の置かれている状況を初めて知り、怒りに震え眠れなかった日々があった」とのべ当時の短歌を紹介し、「何度も何度も絶望に淵から這い上がれたのは多くの支援の方のおかげ。今80歳。石川の喜びは書くことと読むことだったが今は目も耳も不自由になっている。えん罪が晴れたら夜間中学校に通うことが夢を持ち続けている。再審の門をひらかせ勝利しない限り、石川の見えない手錠を外すことができない」とのべ支援を呼び掛けた。

 

  えん罪被害者の布川事件の桜井昌司さん、足利事件の菅家利和さん、袴田事件の袴田巌さんの姉の秀子さんも駆け付けた。

 

 狭山弁護団に新たに元検事の壬生隆明弁護士が加わりあいさつで「正しいことを実現させるため誤った裁判を正していきたい。一人の法曹人として良心に従い皆様とともにえん罪を晴らしていきたい」とのべた。

 

 集会終了後、東京駅近くまで一時間かけてデモ行進をおこなった。

 

 

 



無罪勝ち取るまで闘い抜く 住吉で学習会

 

 狭山学習会が住吉住宅集会所で10月29日にひらかれ34人が参加した。部落解放同盟住吉支部と浅香支部、大阪市職員組合住吉支部、大阪市教職員組合に支部で構成する住吉「狭山」解放共闘が企画した。

 狭山事件について部落解放同盟大阪府連の高橋定副委員長が講演をおこない、事件当時、被差別部落に焦点をあてて捜査が進められていったことや当時の新聞記事には「悪の温床」などと部落差別による偏見、差別に満ちた記事があふれていた。第三次再審で実現した三者協議によって開示された証拠をもとに200点以上の新証拠などを紹介し、再審無罪を勝ち取るまで共にがんばろうなどとのべた。

 二部の共闘交流会では地元住吉支部で長年狭山運動を続けてきた梶川さんが参加。梶川さんは事件のあとすぐに「これは遠い狭山の石川君ひとりの問題じゃない。私らの息子の問題や」と50年以上前から石川さんに手紙を書いたり署名運動にとりくんできた当時をふりかえり、「一緒にとりくんできた婦人部(現在は女性部)の仲間はもう二人しか残っていない。若い人たちが狭山にどうとりくんでいるのかを聞きたくて参加した」とのべた。無罪を勝ち取るまで地域で狭山事件にとりくんでいくことを参加者一同で確認した。

 


無実を叫び56年。来年までに最終意見書を提出。

 

 狭山事件の再審を求める市民集会が5月23日に東京の日比谷野外音楽堂でひらかれました。

   狭山事件を知らない多くの人へ事件を知ってもらい、えん罪を求める世論の声を高めるために、23日の朝日新聞東京版一面に意見広告を実施。静岡県から青森県まで370万部の発行部数です。今後の方針として証人尋問事実調べを求めて最終意見書を来年までに提出する予定です。

 

 基調提案で片岡明幸さんは日本維新の会の長谷川豊・参議院比例区候補者が部落差別発言をおこなったことにふれ「部落を犯罪のプロ集団という人間に参議院に立候補する資格はない。56年前にもこのような部落に対する誤った認識で狭山事件がおきた。それが半世紀以上たっても未だにこのような発言が出ることが狭山事件の大きな背景にある。狭山事件は部落に対する差別をなくしていく闘い」と支援を訴えました。 

石川さん、早智子さんのあいさつを紹介します。

石川一雄さん

今年こそ本当にえん罪を晴らしたい。証人調べを実現するべく命をかけてがんばっていきたい。今後も運動を展開していくが、私は80歳になった。これからが私の第二の人生。それに向かって前進していきますのでこの三次で勝ちますように支援をお願いしたい。

 石川早智子さんは狭山意見広告が朝日新聞に掲載されたことについてお礼をのべたあと先々週にひらかれた徳島の全国女性集会の分科会で和歌山の女性からの報告を紹介。

  1973年に石川さんに手紙を送り忘れていたころに石川さんから原稿用紙4枚にいっぱい文字が書かれた手紙を受け取りそこには「なにより勉強するということは人のためでなく自分自身の力。和歌山から応援してください」と書かれていて石川さんを励まそうと送ったのに逆に励ましてくれたと46年前の手紙を大事にもってくれていた。

  早智子さんは、「石川の闘いが多くの人を影響した。えん罪はあってはならないことだが獄中で文字を取り戻し多くの人に出会えて心が豊かになった」とのべ、狭山事件について「多くの証拠が出された。今がいかに重要であるか、裁判所を動かすのは一にも二にも世論の喚起が必要。さらなる支援をお願いしたい」と呼び掛けた。

 


 2019年5月23日付朝日新聞(東京版)に一面の意見広告に掲載されましたので紹介します。
 

 

現地調査で無実を確認

 

 狭山事件の再審を求める市民集会の翌日、2019年5月24日に現地調査をおこないました。5月なのにカンカン照りの猛暑のなか、中央本部の安田さんの案内で石川さんの自白に沿って事件現場を歩きました。事件から56年が経過し、かつてそこにあった雑木林、桑畑だったところが今はマンションや一戸建てが並ぶ住宅街に変わっていました。風景がちがうと現地調査はわかりにくいのではという不安もありましたが、事件当日に石川さんが歩きはじめたとされる駅からの時間から出会い地点までの距離や時間、被害者の女子高校生が学校から出て出会い地点につくまでの時間をくらべてみるとおかしな点だらけでした。

 最後に石川さん宅を再現した鴨居をのぞき、参加者は「2度の家宅捜索で万年筆は本当に見つからないわけがない」と石川さんの無実を確信しました。

 

 

安田さんは最近新証拠として提出した心理学鑑定を紹介。

 

狭山事件の予備知識がまったくない12人の大学生に警察官のマニュアルに沿って家宅捜索のやり方を説明。お勝手場の中に万年筆、ボールペン、腕時計、財布、ノートを隠し探してもらうと30分以内で全員が発見できた。

 万年筆の発見経過に矛盾点が多く、裁判で弁護士が指摘したが裁判所は「鴨居は背の低い人には見えにくい」と有罪根拠としている。心理学者は「この実験をもとに警察が家宅捜索で見逃したということは考えられない」と鑑定書を提出しました。

 初参加の青年からは「事件があるということは知っているが初めて現地に出向き説明を聞いていくととらえ方が違い、本当にやっていないことがわかった。一人でも多くの仲間に声をかけていきたい」などとのべました。

 

 



石川さんは無実 ビラを作成



 狭山事件の再審開始を求める意見広告が10月28日付の朝日新聞大阪本社版に掲載されました。
 不当判決から44年目の10.31にむけて企画したもので、石川さんと同じ「獄友」、布川事件の桜井昌司さん、足利事件の菅家利和さんのふたりが石川さんとともに狭山事件の現地を歩き、「自白」の矛盾を実感する記事を中心としてじっくり読んでいただければ狭山事件の真実がわかる内容となっています。